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グスタフ・クリムト《アッター湖畔》1900年(ウッドフレームで額装したプリントのイメージ)

グスタフ・クリムト《アッター湖畔》1900年

なぜクリムトは《アッター湖畔》を、水だけで埋めたのか

湖の風景を描くなら、岸辺や空、遠くの山を入れる。
そんな構図を想像するかもしれません。
ところが、クリムトの《アッター湖畔》には、そのほとんどがありません。

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1901年、この作品を見た批評家ルートヴィヒ・ヘヴェシは、こう書きました。

アッター湖の湖水でいっぱいの額縁。短い灰色と緑の波が、互いに流れ込んでいくだけ。

彼が目にしたのも、「湖のある風景」というより、画面いっぱいに広がる水そのものでした。

80.2cm四方の正方形を埋め尽くすのは、短い筆触が重なった水面。

岸も、舟も、人も見えません。わずかに「向こう側」が見えるのは、画面右上のほんの小さな一角だけです。

なぜクリムトは、湖の風景からこれほど多くのものを取り除いたのでしょうか。

クリムトが、初めてアッター湖へ行った夏

この絵が描かれた1900年。

クリムトはウィーンで、大きな騒動の渦中にいました。

3月、ウィーン・セセッションの第7回展で、大学の天井画として制作した《哲学》を発表。

その前衛的な構図は激しい批判を受け、大学教授たちが展示に反対する請願を出すまでになります。

作品は会期途中で取り下げられました。

ところが、その直後に《哲学》はパリ万博へ出品され、絵画部門の最高賞を受賞します。

ウィーンでは批判され、パリでは最高賞。

そんな1900年の夏、クリムトはフレーゲ一家とともに、初めてオーストリアのアッター湖を訪れました。

  1. 1900年3月ウィーンで《哲学》を発表
  2. 激しい批判を受け会期途中で取り下げ
  3. その直後パリ万博で《哲学》が絵画部門最高賞
  4. 1900年夏クリムト、初めてアッター湖で休暇を過ごす
  5. 8月10日湖畔ザイヴァルヒェンのヴィラ・パウリックに滞在した記録が残る

クリムトは、この最初のアッター湖滞在ですでに何点かの絵を完成させていました。

《アッター湖畔》も1900年の作品です。

公の仕事をめぐって批判を受けていた時期に、クリムトはアッター湖の風景を、自分自身を満たすために描いていました。

まず、作品全体を見てみましょう。

《アッター湖畔》全図。正方形の画面のほぼすべてを水面が占めている

画面は80.2×80.2cmの正方形

そのほぼすべてを、水面が占めています。

空はありません。

手前の岸もありません。水平線さえ、ほとんど見えません。

これは本当に「風景画」なのか

《アッター湖畔》画面中央から下部の、水面だけが続く切り出し

近づくと絵の具、離れると水になる

水面は、均一な青一色で塗られているわけではありません。

緑、灰色、白、青。

短い筆の跡が、点のように画面いっぱいに連なっています。

近づいて見ると、一つひとつは絵の具の跡です。

ところが少し離れると、それらがつながり、光を受けて細かく揺れる水面に見えてきます。

細かな筆触の集まりが、80cm四方の画面を湖へと変えています。

《アッター湖畔》画面下端の、水面が端で断ち切られている切り出し

私たちは、どこから湖を見ているのか

画面の下まで水が続き、そのまま端で断ち切られています。

手前の岸も、舟も、人もありません。

そのため、「湖の前に立って景色を眺めている」という位置関係をつかむ手がかりがありません。

目の前にあるのは、ただ水面。

風景の中から距離を測るものが取り除かれることで、水がこちらまで迫ってくるように見えます。

《アッター湖畔》右上のリッツルベルク島が見える切り出し

「向こう側」は、右上にしかない

画面のほとんどが水であるなか、右上にだけ暗いかたちがあります。

リッツルベルク島です。

レオポルト美術館は、この右上の一角を、この作品で唯一確認できる水平線の手がかりとして説明しています。

もし、この小さな島までなかったら。

画面には、手前も奥も判断できない水面だけが残ります。

右上のわずかな陸地があることで、初めて私たちは、この模様のような画面が巨大な湖の一部なのだと認識できるように感じられます。

《アッター湖畔》左下の署名「GUSTAV KLIMT」の切り出し
画面左下には、小さく「GUSTAV KLIMT」。文字はそのまま置かれているのではなく、小さな四角い枠の中に収められています。80.2cm四方の画面。その中に置かれた、もう一つの小さな四角。水面だけが続く画面の中では、署名さえ一つの形として目に入ります。

では、なぜクリムトは風景をここまで大胆に切り取ることができたのでしょうか。

そのヒントになる道具が、現在も残っています。

厚紙に正方形の穴を開けた覗き枠のイメージ
覗き枠のイメージ(当社作成のイラストで、実物ではありません)

厚紙に、四角い穴を開けただけの小さな道具。

大きさは9.5×5.6cmです。

クリムトはこの「覗き枠」を望遠鏡とともに使い、風景の中から絵にする部分を探していました。

1903年、恋人ミッツィ・ツィンマーマンへの手紙にも、その様子が残っています。

「厚紙に穴を開けた覗き枠で、これから描くつもりの風景のモチーフを探した。たくさん見つかった――あるいは、何も見つからなかった、と言ってもいい。」

クリムトは1899年以降、風景画に正方形の画面を好むようになります。

そして、残された覗き枠にも正方形の穴が開けられています。

広大な湖のすべてを描くのではなく、四角い窓を通して、その中から描く場所を探す。

《アッター湖畔》の大胆な切り取り方は、クリムトが実際に風景を探していた方法と重なります。

その後

クリムトは、17年間この湖へ通った

1900年の滞在は、一度きりではありませんでした。

クリムトにとってアッター湖は、その後も繰り返し戻る場所になります。

1900年から1916年まで、17年間。

1907年まではリッツルベルクの醸造所の宿を定宿としていました。

湖で過ごすクリムトの一日には、決まったリズムがありました。

夜明けのアッター湖と空のイーゼルのイメージ

朝、まず描く

クリムトの一日は、早朝の制作から始まりました。観光に出かける前に少し絵を描く、という程度ではありません。朝から絵を描くことが、一日の最初に組み込まれていました。

桟橋につながれた空のボートのイメージ

描いて、泳いで、また描く

早朝に制作したあと、湖で泳ぐ。そして再び描き、昼食をとり、昼寝をする。午後にはまた泳ぐか舟を漕ぎ、軽食をとりました。

夕方のアッター湖のイメージ

夕食まで、また描く

午後の休息が終わると、クリムトは再び制作へ戻りました。夕食まで絵を描く。描くことと、湖で過ごすことが、一日の中で何度も交互に繰り返されていました。
《アッター湖畔》が描かれた1900年は、その17年間の最初の夏でした。

1900年、ウィーンで作品をめぐる騒動の渦中にいたクリムトが、初めて訪れたアッター湖。

そこで彼が正方形の画面に残したのは、山でも空でも、湖畔で過ごす人々でもありませんでした。
ほとんど、ただ水だけ。
しかし近づけば絵の具の跡が見え、離れれば光を受けた湖面になる。
壁に掛けると、この作品の80cm四方に切り取られた水面が、部屋の中にもう一つの窓のように現れます。
artgraph.では、ご注文ごとに1枚ずつプリントします。

サイズ・額装を選ぶ

¥1,900 から(A5・フレームなし・税込)

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どのくらいの大きさになるか

《アッター湖畔》の原画は80.2×80.2cm。正方形の作品です。小さなサイズでは、水面を構成する細かな筆触を一つの模様のように楽しめます。大きなサイズになるほど、一つひとつの筆触と、画面全体が水面へ変わっていく見え方の両方を感じやすくなります。

お部屋の背景
※イメージです
この組み合わせは準備中です
A5からB1までの9サイズを身長175cmの人物と並べた比較図
A5からB1まで9サイズ。身長175cmとの比較です。

壁の主役にするなら B2 以上、机や棚の上に置くなら A4〜A3 が扱いやすい寸法です。数字だけではつかみにくいので、スマートフォンのカメラで原寸を自分の壁に置いて確かめられます。

ソファの上に額装したアートポスターを飾った設置例
壁に掛けたときの見え方の例です。※別の作品での設置例です。

受け取るもの

刷り方と、紙のこと

スタッフがアートプリントを箱に入れている様子
1枚ずつ確認して梱包する擦れや折れを防ぐように包んで発送します

用紙

EPSON のアート紙・190g/m²。表面がマットで、光を反射しにくい紙です。

印刷

ジークレープリント。在庫を持たず、ご注文のたびに1枚ずつ出力します。

アート紙に刷った面と、白い余白の境目
刷り面と余白まわりの白は紙そのものの色です
大判プリンタからアートプリントが出力されている様子
1枚ずつ出力するご注文のたびに刷ります

《アッター湖畔》では、水面を構成する青、緑、灰色、白の細かな違いが、作品の見え方をつくっています。

アルミ4色とウッド3種のフレーム、計6種の角のクローズアップ
フレームはアルミ4色(ブラック/ホワイト/シルバー/ゴールド)とウッド3種。額装込みの価格は、上のショーケースでサイズと組み合わせるとその場に出ます。

選ぶ

サイズと価格

サイズ用紙寸法価格(フレームなし・税込)
A5148 × 210 mm¥1,900
A4210 × 297 mm¥2,400
B4257 × 364 mm¥2,800
A3297 × 420 mm¥3,800
B3364 × 515 mm¥4,200
A2420 × 594 mm¥4,800
B2515 × 728 mm¥5,800
A1594 × 841 mm¥6,800
B1728 × 1030 mm¥7,800

絵柄の縦横比は作品ごとに違うため、用紙のどこまで絵が入るかも作品×サイズごとに変わります。《アッター湖畔》は正方形の作品です。この作品の実寸と余白は、商品ページの「サイズ・価格表」でご確認いただけます。「余白あり」と「余白なし」を選べます。

選ぶ理由

同じ絵でも、どこで刷るかで変わります

  • 用紙と印刷方式を公開しています(アート紙190g/m²・ジークレープリント)。
  • A5からB1まで9サイズ、額装7種から選べます。壁に合わせて決められます。
  • ご注文を受けてから1枚ずつ刷る受注生産です。刷ってから送ります。
  • 原画の情報(制作年・所蔵先)を作品ごとに載せています。当社は各所蔵先と提携しておりません。プリントはパブリックドメインの図版をもとに当社が制作しています。

お届け

注文から届くまで

出荷まで(フレームなし)3営業日
出荷まで(額装込み)10営業日
配送料11,000円以上のご注文は無料
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土日祝日・弊社休業日を除く営業日数です。繁忙期はお時間をいただく場合があります。返品・交換の条件は返品ポリシー、事業者の表示は特定商取引法に基づく表記をご確認ください。

最後に、もう一度作品全体を見てみてください。

グスタフ・クリムト《アッター湖畔》1900年・全図
グスタフ・クリムト《アッター湖畔》1900年/油彩・カンヴァス/80.2 × 80.2cm/所蔵:レオポルト美術館

最初に見たときには、青と緑の水面が広がっているだけの絵に見えたかもしれません。

でも、この作品には「湖を説明するもの」がほとんど描かれていません。

空もない。

手前の岸もない。

人も舟もない。

あるのは、右上の小さな島と、画面いっぱいに続く水面です。

クリムトは実際に四角い覗き枠を持ち、広い風景の中から絵にする場所を探していました。

湖全体ではなく、その中から選び取った一片。

1900年の夏、クリムトが初めてアッター湖で描いた風景です。

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¥1,900 から(A5・フレームなし・税込)

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グスタフ・クリムトの、ほかの一枚

出典

・Klimt Foundation, Gustav Klimt-Datenbank, “The Biography”
・Klimt Foundation, “The Klimt Affair Surrounding the Faculty Paintings”
・Klimt Foundation, “Attersee”
・Klimt Foundation, “Gustav Klimt at Lake Attersee”
・Leopold Museum, “On Lake Attersee”, Inv. 4148
・Leopold Museum, “‘Viewfinder’ from the Estate of Gustav Klimt”
※引用日本語は当社訳。
図版について:作品の図版(「もう一度、絵を見る」の全図・切り出し3点・署名の切り出し・最後の全図)は、当社が印刷に用いている原版からの切り出しで、加工も生成もしていません。ヒーローの額装イメージは、当社が販売する額装プリントの3Dモデルを描き出したものです(生成AIではありません)。一方、ヒーロー背景、「引用」の背景、「覗き枠のイメージ」、および「クリムトは、17年間この湖へ通った」の3点は、当社が生成AIで作成した画像です。当時の記録写真ではありません
当社は各所蔵先と提携しておりません。

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