
クロード・モネ《モンソー公園》1876年
モネはなぜ、同じ公園を6回も描いたのか
一面の緑。
白い花をつけた木々。
その奥には、春の光を受けた公園が広がっています。
クロード・モネが描いた、パリのモンソー公園です。
モネは1876年の春、この公園を3回描きました。
そして2年後。
また同じ公園へ戻り、さらに3回描いています。
少なくとも、ここで確認できるだけで6枚。
同じ公園なのに、同じ絵を繰り返したわけではありません。
この一枚でモネが大きく画面に入れたのは、建物でも、公園を訪れる人々でもなく、
一面の緑の芝と、花をつけた木々でした。
ここは、パリの中にある公園

モンソー公園は、パリのクールセル大通りに面した公園です。周囲には、当時流行の邸宅が並んでいました。
公園そのものが計画されたのは18世紀後半。イギリス式庭園の形でつくられた場所です。モネがここを描いたのは、それからおよそ100年後の1876年。
画面の大きさは59.7×82.6cm。横長のカンヴァスです。
メトロポリタン美術館は、この作品について、「一面に広がる緑の芝と、花をつけた木々」に焦点を当てた作品と説明しています。実際に見てみると、画面のかなりの部分が緑です。
パリの公園なのに、街がほとんど出てこない

主役は「何か」ではなく、緑そのもの
モンソー公園は、周囲を邸宅に囲まれた都市の公園です。けれど、この一枚だけを見ると、パリの街を描いた絵という印象はあまりありません。画面手前から中央まで、大きく広がっているのは芝。その上に木々が重なります。Metがこの作品の焦点として挙げているのも、建築物や人物ではなく、緑の芝と、花をつけた木々。「モンソー公園に何があったのか」を一覧にするような景色ではありません。その春、この場所で大きく目に入った緑と花が、画面の大部分を占めています。

春だったことは、木を見ると分かる
モネがこの公園を描いたのは、1876年の春。木々には花がついています。緑だけで画面を埋めるのではなく、その上に明るい花の色が重なります。そしてモネは、この春の公園を一枚描いただけではありませんでした。同じ1876年に、別の場所から見たモンソー公園をあと2枚描いています。

左端の建物を、覚えておいてください
ここで注目したいのが、画面左側に見える建物です。緑や花ほど目立つ存在ではありません。でも、この建物があとで重要な手がかりになります。なぜなら、2年後にモネが描いたモンソー公園にも、この建物が再び登場するからです。
1876年、同じ公園を3枚描いた
モネが1876年に描いたモンソー公園は、3点確認されています。今回の作品は、そのうちの一枚です。そしてMetの目録によれば、この3点の中で、実際の画面に制作年が書かれているのは今回の作品だけ。残る2点は、現在日本の個人コレクションにあります。

3枚のうち、この絵だけに「76」がある
画面右下を見ると、モネの署名があります。「Claude Monet 76」1876年を示す「76」です。作品資料から制作年が分かるだけではなく、この一枚ではモネ自身が画面に年を残しています。そして翌1877年、この作品は第3回印象派展に出品されました。
ところが2年後、モネはまたここへ戻ってきた
1878年。モネは再びモンソー公園を描きます。しかも、また3点。1876年の3点と合わせると、モンソー公園を描いた作品は6点になります。その1878年の作品の一つも、現在Metが所蔵しています。ここで、先ほどの建物を探してみましょう。

1876年《モンソー公園》(本作)

1878年《モンソー公園》メトロポリタン美術館蔵(当店取扱の図版)
2年後の絵にも、同じ建物がいる

1876年の作品の左側

1878年の作品
1876年の作品の左側に見えていた建物。Metによれば、同じ建物を1878年に描かれた2点でも確認できます。花の状態も、木々の見え方も、構図も同じではありません。でも建物を目印にすると、「モネはまた、この場所を見ている」と分かります。2枚を並べれば、同じ公園を描いたという作品情報だけではなく、絵の中からもそのつながりを探すことができます。
同じ場所でも、一枚に決まらない
1876年に3点。1878年にも3点。同じモンソー公園を描いても、モネは一つの構図だけを残したわけではありませんでした。今回の作品で大きく取り上げられたのは、緑の芝と花をつけた木々。別の位置から見れば、同じ公園でも画面に入るものや、その重なり方は変わります。モネが「なぜ6回描いたのか」という本人の説明は、今回確認できている資料には残されていません。ただ、残された6点から確実に分かるのは、同じ公園へ何度も目を向け、異なる画面をつくったということです。
この絵を最初に買った人は、別のモネも買っていた
今回の作品には、もう一つ面白いつながりがあります。1876年6月25日。この《モンソー公園》は、モネ本人から直接購入されました。買ったのは、パリの医師ジョルジュ・ド・ベリオ。そしてこの名前は、別のモネ作品の来歴にも登場します。当店でも扱っている、1875年の《散歩、日傘をさす女性》。妻カミーユと息子ジャンを描いた、あの日傘の作品です。ド・ベリオは、その作品も1876年にモネ本人から購入しています。現在は別々の美術館作品として見る2枚ですが、1876年には、どちらもモネの手から同じ収集家へ渡っていたのです。

《モンソー公園》1876年

《散歩、日傘をさす女性》1875年(当店取扱の図版)
モネから直接買われ、85年後にMetへ
所蔵先の移り変わりを見る
- 1876年6月25日
医師ジョルジュ・ド・ベリオがモネ本人から直接購入 - 少なくとも1890年まで
ド・ベリオが所蔵 - その後
甥アレクサンドル・ベリオへ - 1930年ごろ
相続人が画商シェレールを通して手放す - 複数の所有者・画商を経る
- 1954年1月
ニューヨークのルーラ・D・ラスカーが購入 - 1961年
ラスカーの遺贈によりメトロポリタン美術館へ
現在の収蔵番号は59.206です。
1876年の春。
モネがパリのモンソー公園で描いた3枚のうちの一枚。
2年後、モネは再びこの公園へ戻りました。
いま一枚だけを見ても、明るい春の公園です。
でもほかの作品と並べると、
「あの建物がまたある」
「今度はここから見ている」
と、モネが同じ場所を繰り返し見た痕跡まで探せます。
一度見た場所にも、まだ別の一枚がある。
《モンソー公園》は、そんなモネの作品群の一つです。
artgraph.では、ご注文ごとに一枚ずつプリントします。
¥1,900 から(A5・フレームなし・税込)
横長の画面いっぱいに、春の緑
原画の大きさは、
59.7 × 82.6cm。
横長の作品です。
画面の大部分を占める芝と木々が、横方向へ広がります。
当店で使用している図版も、原画に近い縦横比で扱っています。
置いてみる
どのくらいの大きさになるか
サイズと額装を変えると、見え方がその場で変わります。お部屋の写真に合わせて確かめてください。

壁の主役にするなら B2 以上、机や棚の上に置くなら A4〜A3 が扱いやすい寸法です。数字だけではつかみにくいので、スマートフォンのカメラで原寸を自分の壁に置いて確かめられます。
受け取るもの
緑の中にある、春の色を見る
遠くから見ると、大きな緑の公園。
近づけば、その緑の中にも芝、木々、花とさまざまな色が重なっています。

用紙
EPSON のアート紙・190g/m²。表面がマットで、光を反射しにくい紙です。
印刷
ジークレープリント。在庫を持たず、ご注文のたびに1枚ずつ出力します。


色
artgraph.の商品は、原本画像に記録された色や明暗をプリントするものです。
選ぶ
サイズと価格
| サイズ | 用紙寸法 | 価格(フレームなし・税込) |
|---|---|---|
| A5 | 148 × 210 mm | ¥1,900 |
| A4 | 210 × 297 mm | ¥2,400 |
| B4 | 257 × 364 mm | ¥2,800 |
| A3 | 297 × 420 mm | ¥3,800 |
| B3 | 364 × 515 mm | ¥4,200 |
| A2 | 420 × 594 mm | ¥4,800 |
| B2 | 515 × 728 mm | ¥5,800 |
| A1 | 594 × 841 mm | ¥6,800 |
| B1 | 728 × 1030 mm | ¥7,800 |
絵柄の縦横比は作品ごとに違うため、用紙のどこまで絵が入るかも作品×サイズごとに変わります。この作品の実寸と余白は、商品ページの「サイズ・価格表」でご確認いただけます。「余白あり」と「余白なし」を選べます。
選ぶ理由
同じ絵でも、どこで刷るかで変わります
- 用紙と印刷方式を公開しています(アート紙190g/m²・ジークレープリント)。
- A5からB1まで9サイズ、額装7種から選べます。壁に合わせて決められます。
- ご注文を受けてから1枚ずつ刷る受注生産です。刷ってから送ります。
- 原画の情報(制作年・所蔵先)を作品ごとに載せています。当社は各所蔵先と提携しておりません。プリントはパブリックドメインの図版をもとに当社が制作しています。
お届け
注文から届くまで
| 出荷まで(フレームなし) | 3営業日 |
|---|---|
| 出荷まで(額装込み) | 10営業日 |
| 配送料 | 11,000円以上のご注文は無料 |
| お届け先 | 日本国内 |
土日祝日・弊社休業日を除く営業日数です。繁忙期はお時間をいただく場合があります。 返品・交換の条件は返品ポリシー、事業者の表示は特定商取引法に基づく表記をご確認ください。
最後に、もう一度この作品を見てみてください。

《モンソー公園》1876年
油彩・カンヴァス
59.7 × 82.6cm
所蔵:メトロポリタン美術館
収蔵番号:59.206
一面の緑。
花をつけた木々。
左側には、小さく見える建物。
モネは1876年の春、この公園を3回描きました。
そして2年後、
またここへ戻り、さらに3回描きました。
今回の作品の左端にある建物は、2年後の絵にも残っています。
同じ場所。
同じ建物。
それでも、出来上がった画面は同じではありません。
一つの場所に、一つの絵しかないわけではない。
そう知ってからもう一度見ると、
この一枚の外側にも、モネが見た別のモンソー公園が続いているように感じられます。
¥1,900 から(A5・フレームなし・税込)
同じ人が描いた絵
モネがもう一度描いた、モンソー公園
出典
・The Metropolitan Museum of Art, “Landscape: The Parc Monceau,” Claude Monet, 1876, 59.206
・The Metropolitan Museum of Art, Provenance / Catalogue Notes / Inscription
・Musée d’Orsay, Claude Monet author record
※1876年に3点、1878年に3点のモンソー公園を描いたこと、1876年の3点のうち本作だけに年記があること、左側の建物が1878年の作品にも登場することは、メトロポリタン美術館の作品解説・目録注記に基づきます。
※「なぜモネが同じ公園を6回描いたのか」について、今回参照した資料にはモネ本人による理由の説明は確認できません。そのため、制作意図を推測していません。
図版について:本作《モンソー公園》(1876年)の全図・切り出し・比較カード・署名・最後の全図は、当社が印刷に用いている原版からのもので、加工も生成もしていません。1878年《モンソー公園》の全図と建物の切り出しは、当社が販売する同作の印刷原版からのもので、加工も生成もしていません。《散歩、日傘をさす女性》の図版も、当社が販売する同作の印刷原版からのもので、加工も生成もしていません。ヒーローの額装イメージは、当社が販売する額装プリントの3Dモデルを描き出したものです(生成AIではありません)。ヒーロー背景と、花をつけた木の枝を見上げるduoの背景は、当社が生成AIで作成した画像です。当時の記録写真ではありません。
当社は各所蔵先と提携しておりません。
















