クロード・モネ《ヴェトゥイユの眺め》1880年をウッドフレームで額装したプリントのイメージ

クロード・モネ《ヴェトゥイユの眺め》1880年

この風景、村まで地続きに見えて「途中にセーヌ川」がある

赤いひなげしが点々と咲く、緑の野原。
小道を目でたどっていくと、遠くに村があり、その中心には教会の塔が見えます。
手前から奥まで、ひと続きの土地に見える風景です。

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ところが、実際の地形は違います。

野原とヴェトゥイユの村のあいだには、セーヌ川があります。

川が描かれていないわけではありません。

モネがこの絵を描いた場所そのものが、セーヌ川の中にある小さな島。

そして村とのあいだを流れる水面は、右側に並ぶポプラによって隠されています。

見えていない川を一本加えると、

この絵の景色はまったく違って見えてきます。

クロード・モネ《ヴェトゥイユの眺め》の全図

まず、この絵の中を歩いてみる

描かれているのは、パリの北西にあるヴェトゥイユ。
モネは1878年、この村に移り住みました。
作品が描かれたのは1880年。

縦80cm、横60.3cmの縦長の画面です。
一番手前には、緑の麦と赤いひなげし。
右下から一本の細い道が始まっています。
道は奥へ進み、やがて遠くに見えるヴェトゥイユの教会の塔へ。

メトロポリタン美術館も、この小道を教会の塔へ視線を導く「道しるべ」と説明しています。
だから、そのまま道を歩いて村まで行けそうに見えます。

でも――
途中で、セーヌ川にぶつかります。

右下の小道から遠くの教会までの切り出し

絵の中に「見えない川」がある

遠くの村と教会の塔

小道を追うと、教会へ着く

まずは画面右下を見てみましょう。

ひなげしの間を抜ける細い小道があります。

そこから目を奥へ動かしていくと、遠くにある教会の塔へ視線が向かいます。

手前の野原。

小道。

その先の村。

画面だけを見れば、自然にひと続きの風景として読み取れます。

画面右側の背の高いポプラ

川を消しているのは、この木

では、セーヌ川はどこにあるのでしょう。

手がかりは、画面右側を大きく占める背の高いポプラです。

メトロポリタン美術館によれば、このポプラの並びによって、水面が見えなくなっています。

つまり画面の奥にある村と、こちら側の景色との間には、

絵からは見えないセーヌ川が流れています。

手前の景色
ポプラ
セーヌ川← 絵では見えない
ヴェトゥイユの村・教会
手前のひなげしと麦

しかも、モネ自身も「川の中」にいる

もう一つ意外なのが、モネが立っていた場所です。

村と反対側の岸から描いたのではありません。

モネは、セーヌ川にあるサン=マルタン島という中州からヴェトゥイユを見ていました。

つまりこの絵の位置関係は、

対岸
セーヌ川
サン=マルタン島← モネはここ
セーヌ川
ヴェトゥイユ

となります。

画面だけを見ると、野原の中から村を眺めているように感じます。

実際には、画家も川の中。

そして村とのあいだにも川。

水面をほとんど見せずに描かれた、セーヌ川の中からの景色なのです。

モネは、この島を動きながら同じ村を何度も描いた

1880年の夏、モネはヴェトゥイユ周辺を集中的に描いています。

メトロポリタン美術館は、この時期にモネが「驚くほど多彩な情景」を生み出したと説明しています。

1880年から1881年にかけては、サン=マルタン島から見たヴェトゥイユだけでも複数の作品を制作。

横長の画面もあれば、縦長の画面もあります。

しかも、それぞれの絵には同じ建物を見つけることができます。

なぜなら、描いている村は同じだからです。

《ヴェトゥイユの眺め》の教会の塔

《ヴェトゥイユの眺め》の教会の塔

同じ1880年、セーヌ川の対岸から描かれた《夏のヴェトゥイユ》の教会の塔(当店取扱の図版)

同じ1880年、セーヌ川の対岸から描かれた《夏のヴェトゥイユ》の教会の塔(当店取扱の図版)

少し場所を変えるだけで、別の絵になる

Metの目録によれば、これらは小さな島の異なる場所から描かれています。

同じヴェトゥイユ。

同じ教会。

同じセーヌ川。

それでも、モネが島の中で立つ場所を変えれば、手前に入るものも、村との重なり方も変わります。

この《ヴェトゥイユの眺め》では、

緑の麦。

赤いひなげし。

小道。

背の高いポプラ。

そして遠くの教会。

それらが縦長の画面に重なりました。

この絵、昔は「ひなげしの中で」と呼ばれていた

手前に散っている赤い花も、この作品の歴史に残っています。

1901年11月21日。

パリのオテル・ドゥルオーで、この絵が競売にかけられました。

そのときの題名は、

《Dans les coquelicots(ひなげしの中で)》

でした。

現在の《ヴェトゥイユの眺め》という題なら、まず遠くの村を探します。

でも《ひなげしの中で》と言われれば、今度は手前の赤い花が目に入ります。

同じ絵でも、題名によって最初に見る場所が変わります。

手前の赤いひなげしと緑の麦

400フランだった絵が、21年後には6,900フランになった

この作品には、もう一つ数字で追える面白い記録があります。

描かれた1880年。

作品はその年の7月に、モネ本人から直接購入されています。

Metの記録では買い手は、美術批評家・収集家シャルル・エフリュッシとみられています。ただし、この所有者名には疑問符が付けられています。

記録されている購入価格は、

400フラン。

それから21年後。

1901年のパリで《ひなげしの中で》として競売に出されたときの落札額は、

6,900フラン。

単純な金額の比較では、

17倍以上。

もちろん、これは現在の貨幣価値に換算した比較ではありません。

それでも、同じ一枚について残された当時の取引額が、21年間で大きく変わったことは記録から確認できます。

左下の年記と署名「1880 Claude Monet」

「Claude Monet」の前に、1880

画面左下には、制作年と署名があります。

ただし、並び方が少し変わっています。

「1880 Claude Monet」

名前を書いて、その後ろに年号ではありません。

この作品では、年が先。

小さな部分ですが、実際の画面そのものに1880年という制作年が残されています。

パリからニューヨークへ

所蔵先の移り変わりを見る
  1. 1880年7月
    モネ本人から400フランで購入
    買い手はシャルル・エフリュッシとみられる
    ※Metの記録では「?」付き
  2. その後
    パリの個人コレクションへ
  3. 1901年
    オテル・ドゥルオーで競売
    《ひなげしの中で》として6,900フランで落札
  4. ベルネーム=ジュヌ、デュラン=リュエルなどを経る
  5. 1912年
    ニューヨークのアーサー・B・エモンズが購入
  6. 1920年
    ニューヨークの競売で7,000ドルの記録
  7. 1956年
    ジュリア・W・エモンズの遺贈により、メトロポリタン美術館へ

現在の収蔵番号は、56.135.1です。

最初にこの絵を見たとき、

ひなげしの咲く野原から、遠くの村を眺めた風景に見えたかもしれません。

でも実際には、

モネがいるのはセーヌ川の中州。

村とのあいだにもセーヌ川。

その水面を、ポプラが隠しています。

描かれていないものを知ると、描かれている風景まで変わって見える。

《ヴェトゥイユの眺め》は、そんな一枚です。

artgraph.では、ご注文ごとに一枚ずつプリントします。

サイズ・額装を選ぶ

¥1,900 から(A5・フレームなし・税込)

縦長だから、手前から奥へ視線が進む

原画の大きさは、

80 × 60.3cm。

縦長の作品です。

横 60.3cm縦 80cm身長 170cm

右下のひなげしと小道から始まり、

ポプラを通り、

遠くの教会へ。

この作品では、手前から奥へ重なる景色が縦長の画面に収められています。

当店で使用している図版も、原画とほぼ同じ縦横比です。

置いてみる

どのくらいの大きさになるか

サイズと額装を変えると、見え方がその場で変わります。お部屋の写真に合わせて確かめてください。

お部屋の背景
※イメージです
この組み合わせは準備中です
A5からB1までの9サイズを身長175cmの人物と並べた比較図
A5からB1まで9サイズ。身長175cmとの比較です。

壁の主役にするなら B2 以上、机や棚の上に置くなら A4〜A3 が扱いやすい寸法です。数字だけではつかみにくいので、スマートフォンのカメラで原寸を自分の壁に置いて確かめられます。

ソファの上に額装したアートポスターを飾った設置例
壁に掛けたときの見え方の例です。※別の作品での設置例です。

受け取るもの

赤いひなげしから、遠くの教会まで

画面の手前には、緑の麦と赤いひなげし。

奥にはヴェトゥイユの村と教会。

その途中には背の高いポプラが重なります。

一枚の中にある、手前から奥までの距離を楽しめる構図です。

スタッフがアートプリントを箱に入れている様子
1枚ずつ確認して梱包する擦れや折れを防ぐように包んで発送します

用紙

EPSON のアート紙・190g/m²。表面がマットで、光を反射しにくい紙です。

印刷

ジークレープリント。在庫を持たず、ご注文のたびに1枚ずつ出力します。

アート紙に刷った面と、白い余白の境目
刷り面と余白まわりの白は紙そのものの色です
大判プリンタからアートプリントが出力されている様子
1枚ずつ出力するご注文のたびに刷ります

色

artgraph.の商品は、原本画像に記録された色や明暗をプリントするものです。

アルミ4色とウッド3種のフレーム、計6種の角のクローズアップ
フレームはアルミ4色(ブラック/ホワイト/シルバー/ゴールド)とウッド3種。額装込みの価格は、上のショーケースでサイズと組み合わせるとその場に出ます。

選ぶ

サイズと価格

サイズ用紙寸法価格(フレームなし・税込)
A5148 × 210 mm¥1,900
A4210 × 297 mm¥2,400
B4257 × 364 mm¥2,800
A3297 × 420 mm¥3,800
B3364 × 515 mm¥4,200
A2420 × 594 mm¥4,800
B2515 × 728 mm¥5,800
A1594 × 841 mm¥6,800
B1728 × 1030 mm¥7,800

絵柄の縦横比は作品ごとに違うため、用紙のどこまで絵が入るかも作品×サイズごとに変わります。この作品の実寸と余白は、商品ページの「サイズ・価格表」でご確認いただけます。「余白あり」と「余白なし」を選べます。

選ぶ理由

同じ絵でも、どこで刷るかで変わります

  • 用紙と印刷方式を公開しています(アート紙190g/m²・ジークレープリント)。
  • A5からB1まで9サイズ、額装7種から選べます。壁に合わせて決められます。
  • ご注文を受けてから1枚ずつ刷る受注生産です。刷ってから送ります。
  • 原画の情報(制作年・所蔵先)を作品ごとに載せています。当社は各所蔵先と提携しておりません。プリントはパブリックドメインの図版をもとに当社が制作しています。

お届け

注文から届くまで

出荷まで(フレームなし)3営業日
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配送料11,000円以上のご注文は無料
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土日祝日・弊社休業日を除く営業日数です。繁忙期はお時間をいただく場合があります。 返品・交換の条件は返品ポリシー、事業者の表示は特定商取引法に基づく表記をご確認ください。

最後に、もう一度この作品を見てみてください。

クロード・モネ《ヴェトゥイユの眺め》1880年・全図
クロード・モネ
《ヴェトゥイユの眺め》1880年
油彩・カンヴァス
80 × 60.3cm
所蔵:メトロポリタン美術館
収蔵番号:56.135.1

右下に、ひなげしと小道。

奥にはヴェトゥイユの教会。

その間には、背の高いポプラ。

そして、

見えないセーヌ川。

モネは1880年の夏、川の中にある小さな島を動きながら、同じヴェトゥイユを何度も描きました。

この一枚では、水面をポプラが隠したことで、島から村までがひと続きの土地のように見えています。

だから、川があると知る前と、知った後では、

同じ景色なのに、距離の感じ方が違います。

描かれているものを見る。

そして、描かれていないものにも気づく。

もう一度見ると、ポプラの向こうに、さっきまではなかった川が見えてくるかもしれません。

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同じヴェトゥイユを、別の場所から見る

出典

・The Metropolitan Museum of Art, “View of Vétheuil,” Claude Monet, 1880, 56.135.1 ・The Metropolitan Museum of Art, Provenance / Catalogue Notes / Inscription ・Musée d’Orsay, Claude Monet author record
※サン=マルタン島から描かれたこと、水面がポプラに隠れていること、小道が教会の塔へ視線を導くという説明は、メトロポリタン美術館の作品解説・目録注記に基づきます。 ※1880年の最初の購入者シャルル・エフリュッシについては、Metの来歴情報自体に疑問符が付されているため、確定情報としては扱っていません。
図版について:《ヴェトゥイユの眺め》の全図と切り出し、および《夏のヴェトゥイユ》の教会の塔は、当社が販売する各作品の印刷原版からの切り出しで、加工も生成もしていません。ヒーローの額装イメージは、当社が販売する額装プリントの3Dモデルを描き出したものです(生成AIではありません)。ヒーロー背景とポプラ並木を見上げる背景は、当社が生成AIで作成した画像です。当時の記録写真ではありません。
当社は各所蔵先と提携しておりません。

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