約1,000,000種類を超える製品の中からお気に入りを

【初めての方限定!】10%OFFクーポン!

Loading...

なぜセザンヌは近代絵画の父なのか?名作「リンゴの籠のある静物」を徹底解剖

なぜセザンヌは近代絵画の父なのか?名作「リンゴの籠のある静物」を徹底解剖

目次

この記事について

artgraph. ロゴ

artgraph.

100万点以上のアートインテリア販売サイト

アートの印刷事務所のスタッフであるartgraph.スタッフが独自に情報をまとめて記事を書いています。 スタッフの中には作家活動を行う者も多く、勉強の一環としても記事をどんどん書いてゆきます!

なぜセザンヌは近代絵画の父なのか?名作「リンゴの籠のある静物」を徹底解剖

この記事は、「アートをもっと身近に」がコンセプトのartgraph.が、店長マツムラの視点から執筆しています。一枚のアートで、あなたの毎日がもっと豊かになる。そんなお手伝いができれば幸いです。

こんにちは、artgraph.店長のマツムラです。数ある西洋絵画のなかでも、ポール・セザンヌの「リンゴの籠のある静物」は、美術史の大きな転換点となった、極めて重要な作品です。一見すると穏やかな静物画ですが、その内部には、それまでの絵画の常識を根底から覆す、静かな革命が秘められています。

ポール・セザンヌ作「リンゴの籠のある静物」の絵画全体像

ポール・セザンヌ「リンゴの籠のある静物」(1890-1894年)シカゴ美術館所蔵

なぜこの一枚が、後のピカソやマティスといった巨匠たちに計り知れない影響を与え、セザンヌを「近代絵画の父」たらしめたのか。今回は、この名画のディテールに迫りながら、その革新性をじっくりと解き明かしていきたいと思います。

この作品のキャンバスパネルを見る この作品のアートポスターを見る

絵画の「常識」を疑ったセザンヌ

この作品を理解するためには、まずセザンヌ以前の絵画の目的を思い出す必要があります。ルネサンス以降、西洋絵画の主な目的は「現実世界をいかに忠実に、三次元的にキャンバス(二次元)上に再現するか」という点にありました。そのために、一点透視図法のような科学的な遠近法や、光と影による立体表現(陰影法)が発達したのです。

セザンヌが活動した19世紀後半には、モネをはじめとする印象派が、光の変化や空気感といった「見たままの印象」を捉えようとしましたが、それでもなお、彼らの基盤には「現実の再現」という考え方がありました。

しかし、セザンヌは問いかけます。「絵画は、本当に現実を模倣するだけのもので良いのだろうか?」と。彼の革命は、この根本的な問いから始まりました。
この作品のキャンバスパネルを見る この作品のアートポスターを見る

「リンゴの籠のある静物」に隠された3つの革命

この静物画には、セザンヌの答えが明確に示されています。彼は現実を模倣するのではなく、絵画としての自律したリアリティをキャンバスの上に構築しようと試みたのです。

革命①:視点の複数化 - テーブルはなぜ歪んでいるのか

まず、テーブルにご注目ください。手前の縁の線は、左右で明らかにずれています。伝統的な遠近法に則れば、これは「間違い」です。しかし、セザンヌは意図的にこう描きました。

これは、私たちが物を見るとき、決して一つの視点から固定して見ているわけではない、という真実に基づいています。私たちは無意識に頭を動かし、視点を移動させながら対象の全体像を把握します。「リンゴの籠のある静物」では、テーブルの右側は少し上から、左側はより水平に、籠は正面から、といったように、複数の視点から捉えたイメージが、一枚の絵の中に統合されているのです。これにより、不安定でありながらも、圧倒的な存在感が生まれています。


セザンヌの静物画連作

革命②:色彩による形態の構築 - 陰影からの解放

次に、リンゴや布の立体感を見てみましょう。従来の絵画では、黒や茶色を使って影を描くことで立体感を出していました。しかしセザンヌは、そうした暗い色を極力使わず、色彩そのものの組み合わせで物体の量感(ボリューム)を表現しました。

例えば、リンゴの丸みを表現するために、赤の隣に緑や青のタッチを置く。暖色(進出色)と寒色(後退色)の対比によって、私たちの目には自然な立体感が生まれます。これは、色彩を単なる「色付け」の道具から、「形態を構築する」ための要素へと引き上げた、大きな一歩でした。

革命③:秩序ある筆致(タッチ) - 構築的ストローク

セザンヌの筆遣いは、印象派の素早いタッチとは異なり、秩序正しく、計算されて置かれています。彼は、平行または斜めに走る短い筆致を繰り返し並べることで、画面全体に一貫したリズムと構築的な堅牢さを与えました。この独特なタッチは、個々のモチーフだけでなく、背景や空間さえもが、同じ物質(絵の具)でできているという感覚を生み出し、画面全体の統一感を高めています。


この作品のキャンバスパネルを見る この作品のアートポスターを見る

キュビスムへの道を開いた、セザンヌの遺産

「自然を円筒、球、円錐によって扱う」というセザンヌの有名な言葉と、この作品で示された革新的な試み――すなわち、対象を基本的な幾何学的形態に還元し、複数の視点から再構成するというアプローチは、20世紀美術に決定的な影響を与えました。

特に、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックはセザンヌの思想をさらに推し進め、キュビスムを創始します。彼らがセザンヌを「我々すべての父」と呼んで尊敬したのは、まさにセザンヌが、絵画を「現実の窓」から「それ自体が一個の独立した世界」へと変える道筋を示したからに他なりません。

美術館品質の一枚で、セザンヌの探求に想いを馳せる

セザンヌのポスターを飾り、その芸術性を静かに鑑賞する書斎のイメージ   一枚の絵画と向き合う時間は、日常に深い思索と豊かさをもたらします。

ここまで解説してきたセザンヌの緻密な計算と探求の軌跡は、残念ながら低品質な印刷ではなかなか伝わりません。色彩の微妙な変化や、重ねられた筆致の質感まで感じられてこそ、この作品の真の価値に触れることができると、私たちartgraph.は考えます。

私たちが提供するアートキャンバスは、美術館の展示でも用いられる高精細な「ジークレープリント」技術で制作しています。セザンヌがキャンバスに残した一つ一つのタッチに込められた情熱を、ご自宅でじっくりと味わってみませんか。

→ 「リンゴの籠のある静物」アートキャンバスで、そのディテールを確かめる

一枚の静物画が、いかにして美術の歴史を塗り替えたのか。その答えは、作品そのものが静かに、しかし力強く語りかけてくれます。ぜひ、あなたの空間で、その奥深い対話をお楽しみください。

この記事を書いた人

artgraph. ロゴ

artgraph.

100万点以上のアートインテリア販売サイト

アートの印刷事務所のスタッフであるartgraph.スタッフが独自に情報をまとめて記事を書いています。 スタッフの中には作家活動を行う者も多く、勉強の一環としても記事をどんどん書いてゆきます!