印象派は、19世紀後半のフランスで起こった、絵画を中心とする芸術運動です。当時の伝統的な絵画技法や様式から離れ、外光の下で見たままの「印象」をカンヴァスに写し取ることを重視しました。印象派の画家たちは、それまでの絵画にはなかった、明るい色彩と自由な筆遣いによって、近代絵画の扉を開きました。
印象派の歴史
- 1860年代、マネやモネ、ルノワールら若手画家たちが、サロンの保守的な審査基準に反発を強める
- 1874年、モネ、ドガ、ピサロらを中心に「第1回印象派展」を開催、伝統的な絵画から独立した新たな運動として注目を浴びる
- 1870年代~1880年代にかけて、印象派の技法はさらに発展、数々の傑作が生まれる
- 1886年の第8回展をもって印象派展は終了、その後、新印象派やポスト印象派などの新たな運動へと展開
代表的な画家と作品
印象派の技法は、明るい色彩と細かい筆触が特徴的です。戸外制作で描かれた作品が多く、光の変化や大気の動きが巧みに表現されています。絵の具をパレットの上で混ぜずに、カンヴァスに直接置いていくことで、視覚混合による鮮やかな色彩を生み出しました。また、伝統的な主題や構図にとらわれず、日常の風景や人物を積極的に描いたことも、印象派の革新性の一つと言えるでしょう。
印象派は、絵画だけでなく、文学や音楽など、他の芸術分野にも大きな影響を与えました。また、後のフォーヴィスムやキュビスムなどの前衛的な芸術運動の先駆けとしても、美術史上重要な役割を果たしています。印象派の画家たちが残した作品は、現代においても多くの人々に愛され、その影響は今なお色褪せることがありません。