Horace Pippin(ホレス ピピン)

ホレス・ピピン（1888-1946）は、アフリカ系アメリカ人のフォークアーティストであり、鮮やかで色彩豊かな肖像画や風景画で知られています。ピピンは貧困の中で生まれ、芸術家になるまでに多くの困難に直面しました。その中には、戦争中の怪我で右腕が麻痺したことも含まれます。

ホレス・ピピン 経歴

• 1888年2月22日、アメリカ合衆国ペンシルベニア州ウェストチェスターに生まれる
• 幼い頃から絵を描くことに興味を持つが、貧困のため正式な美術教育は受けられなかった
• 第一次世界大戦に従軍し、右腕に重傷を負い、後遺症が残る
• 1920年代後半、絵画制作を始める
• 1937年、地元の展覧会で作品が注目され、その後ニューヨークの美術館でも展示される
• 1946年7月6日、ペンシルベニア州ウェストチェスターで死去（享年58歳）

代表作品

• 『ジョン・ブラウンの絞首刑』（John Brown Going to His Hanging） (1942年)
• 『勝利列車』（Victory Train） (1943年)
• 『キャビン・イン・ザ・コットン』（Cabin in the Cotton） (1944年)
• 『聖なる山』（Holy Mountain）シリーズ

ピピンの画風と業績

ピピンの作品は、力強い色彩と素朴な構図が特徴です。彼は、自身の経験や記憶、そして聖書や歴史から題材を得て、物語性豊かな作品を数多く生み出しました。

代表作の『ジョン・ブラウンの絞首刑』は、奴隷解放運動家ジョン・ブラウンの処刑を描いたもので、アメリカの黒人史における重要な出来事を力強く表現しています。また、『勝利列車』は、第二次世界大戦中のアメリカの勝利を祝う作品で、希望に満ちた未来への願いが込められています。

ピピンは、独学で絵画を学び、困難な状況を乗り越えて、独自の芸術世界を築き上げました。彼の作品は、アフリカ系アメリカ人の歴史や文化を伝えるだけでなく、人間の尊厳や希望を訴えかける普遍的なメッセージを持っています。