ポスト印象派

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ポスト印象派は、19世紀末から20世紀初頭にかけて、フランスを中心に展開された絵画運動です。印象派の成果を受け継ぎながらも、その技法や理念に満足することなく、それぞれの画家の個性を重視した、多様な表現様式が生まれました。ポスト印象派は、フォーヴィスムやキュビスムといった20世紀の美術に、決定的な影響を与えました。

ポスト印象派の歴史

1880年代半ば、印象派の技法や理念に飽き足らなくなった若い画家たちが、新たな表現を模索し始める
1886年の第8回印象派展以降、スーラやシニャックによる「新印象派」、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンらの個性的な活動が注目を集める
1910年にロジャー・フライが企画した展覧会の名称「マネとポスト印象派展」によって、「ポスト印象派」という呼称が一般化する
1890年代から1900年代にかけて、ポスト印象派の画家たちの活動は最盛期を迎え、後続の美術運動に大きな影響を与える

代表的な画家と作品

ポール・セザンヌ（Paul Cézanne）：サント＝ヴィクトワール山（Mont Sainte-Victoire）連作 (1885年以降)
フィンセント・ファン・ゴッホ（Vincent van Gogh）：星月夜（The Starry Night）(1889年)
ポール・ゴーギャン（Paul Gauguin）：我々はどこから来たのか我々は何者か我々はどこへ行くのか（Where Do We Come From? What Are We? Where Are We Going?）(1897年)
ジョルジュ・スーラ（Georges Seurat）：グランド・ジャット島の日曜日の午後（A Sunday Afternoon on the Island of La Grande Jatte）(1884-1886年)
アンリ・ド・トゥールーズ＝ロートレック（Henri de Toulouse-Lautrec）：ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ（Moulin Rouge, La Goulue）(1891年)

ポスト印象派の画家たちは、印象派のように、単一の技法や理念を共有してはいませんでした。しかし、彼らは皆、印象派の外光表現を発展させつつ、それぞれの個性を打ち出しました。セザンヌは、自然の堅固な構造を捉えようとし、ゴッホは、激しい感情を色彩と筆触で表現しました。また、ゴーギャンは、象徴的な意味を込めた装飾的な画面を創造しました。スーラは、点描による厳密な画面構成を探求しました。このように、ポスト印象派は、その後の多様な絵画表現への可能性を切り開いた、重要な絵画運動だったと言えるでしょう。

ポスト印象派の画家たちの個性的な探求は、20世紀の美術に大きな遺産を残しました。セザンヌの構築的な絵画はキュビスムに、ゴッホの表現主義的な様式はフォーヴィスムや表現主義に、ゴーギャンの装飾性はナビ派などに、それぞれ影響を与えています。その意味で、ポスト印象派は、近代絵画の展開において、決定的な役割を果たしたと言えるでしょう。