Giorgione(ジョルジョーネ)

ジョルジョーネ、またはジョルジョ・ダ・カステルフランコ（約1477ー78年生まれ）は、イタリアの画家であり、ヴェネツィア派における盛期ルネサンス様式の先駆者の一人です。彼の名は、ヴァザーリの美術家列伝にも記されています。

ジョルジョーネ 経歴

• 1477年または1478年頃、ヴェネツィア共和国のカステルフランコ・ヴェーネトに生まれる
• 1500年頃、ヴェネツィアで画家として活動を開始
• ジョヴァンニ・ベッリーニの工房で学ぶ
• 短い画業の中で、風景と人物を融合させた革新的な絵画を制作
• 1510年、ペストによりヴェネツィアで死去（32歳または33歳）

代表作品

• 『嵐』（The Tempest） (1508年頃)
• 『眠れるヴィーナス』（Sleeping Venus） (1510年)
• 『三人の哲学者』（The Three Philosophers） (1508-1509年頃)
• 『田園の奏楽』（Pastoral Concert） (1508年頃)

ジョルジョーネの画風と業績

ジョルジョーネの作品は、その詩情あふれる雰囲気と、色彩の繊細な調和、そして光と影の巧みな表現が特徴です。彼は、風景と人物を一体化させ、自然の中に溶け込むような人物像を描き出しました。彼の作品は、ルネサンス美術の伝統を継承しながらも、より感情的で、詩的な表現へと発展させました。

代表作の『嵐』は、嵐の迫る風景の中に、授乳する女性と兵士が佇む謎めいた作品です。自然の力と人間の存在を対比させ、見る者に深い思索を促します。また、『眠れるヴィーナス』は、その官能的な美しさと風景との調和が印象的な作品で、後の西洋美術における女性裸体像の表現に大きな影響を与えました。

ジョルジョーネは、短い生涯ながらも、その革新的な絵画表現で、ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノをはじめ、多くの画家たちに影響を与えました。彼の作品は、ルネサンス美術の頂点を極めただけでなく、その後のバロック美術やロマン主義にもつながる、重要な転換点となりました。