エルンスト・ハインリヒ・バルラハ（1870-1938）は、ドイツの著名な表現主義芸術家で、心に響く彫刻、木版画、リトグラフで知られています。
エルンスト・ハインリヒ・バルラハ 経歴
-
1870年1月2日、ドイツのヴェーデルに生まれる。
-
ハンブルク工芸学校、ドレスデン美術アカデミーで学ぶ。
-
1906年、ロシアを旅行し、その体験が彼の芸術に大きな影響を与える。
-
1910年代から、彫刻、木版画、リトグラフ、戯曲など、多岐にわたる分野で活躍。
-
1930年代、ナチス政権により「退廃芸術」の烙印を押され、作品が没収・破壊される。
-
1938年10月24日、ロストックで死去（享年68歳）。
代表作品
-
彫刻：
- 『漂泊者』(Der Schwebende) (1927年)
- 『歌う男』(Der singende Mann) (1928年)
- 『復讐する女』(Die Rache) (1922年)
-
木版画・リトグラフ：
- 『死せる日』（Der tote Tag）の挿絵 (1912年)
- 戯曲『貧しき人たち』の挿絵 (1919年)
バルラハの画風と業績
バルラハの作品は、表現主義の特徴である感情的な表現と、内面の葛藤や苦悩を象徴的に描いた点が特徴的です。彼の彫刻は、簡素化されたフォルムと荒々しい表面処理によって、人間の孤独や苦しみを力強く表現しています。また、木版画やリトグラフでも、同様のテーマを、陰影を強調した表現で描き出しました。
バルラハは、第一次世界大戦の経験から、平和主義、人道主義の思想を深め、その思想は彼の作品にも反映されています。彼の作品は、戦争の悲惨さや人間の愚かさを告発すると同時に、希望や再生への願いも表現しています。
バルラハは、20世紀ドイツを代表する芸術家の一人であり、その作品は、表現主義芸術の傑作として、また、人間の普遍的な感情を深く掘り下げた作品として、現代においても高く評価されています。
