アンドレア・マンテーニャ

アンドレア・マンテーニャは、15世紀のイタリア・ルネサンス、特にパドヴァ派を代表する画家です。彫刻的な人物表現、厳格な遠近法、そして古代ローマ美術への深い学識に基づいた作風で知られ、初期ルネサンスの絵画に革新をもたらしました。

アンドレア・マンテーニャ 経歴

• 1431年頃 ヴェネツィア共和国のイーゾラ・ディ・カルトゥーロ（現在のピアッツォーラ・スル・ブレンタ近郊）で生まれる。

• 1442年頃 パドヴァの画家フランチェスコ・スクァルチオーネの工房に入り、弟子および養子となる。スクァルチオーネの工房で古代ローマの美術品に触れ、深い影響を受ける。

• 1448年 17歳で独立し、パドヴァのオーヴェターリ礼拝堂のフレスコ画制作という大仕事を手がけ始める（大部分は第二次世界大戦で破壊）。

• 1453年 ヴェネツィア派の始祖ヤーコポ・ベリーニの娘、ニコロージア・ベリーニと結婚。ジョヴァンニ・ベリーニやジェンティーレ・ベリーニと義兄弟となる。

• 1460年 マントヴァ侯爵ルドヴィーコ3世・ゴンザーガに宮廷画家として招かれ、マントヴァに移住。以後、生涯にわたりゴンザーガ家に仕える。

• 1465-74年 マントヴァのドゥカーレ宮殿内の「夫婦の間」（Camera degli Sposi）に、ゴンザーガ家の人々を描いた画期的なフレスコ画を制作する。

• 1506年9月13日 マントヴァで死去（享年75歳）。

代表作品

• 『サン・ゼーノの祭壇画』（1556-59年）

• 『夫婦の間』の天井画および壁画（1465-74年）

• 『死せるキリスト』（1480年頃）

• 『パルナッソス』（1497年）

• 『カエサルの凱旋』（1480-95年頃）

マンテーニャの作品は、まるで大理石で彫られたかのような硬質で彫塑的な人物描写に大きな特徴があります。これは、彼が学んだパドヴァ派の伝統と、ドナテッロなどの彫刻家から受けた影響を反映しています。また、彼は短縮法（フォアショートニング）を駆使した大胆な構図を多用しました。特に『死せるキリスト』では、キリストの体を足元から見上げるという極端な視点で描き、観る者に強烈な印象を与えます。

古代ローマの文化や芸術に対する深い知識もマンテーニャの芸術の核であり、作品の主題や細部の装飾にその学識が随所に見て取れます。ゴンザーガ家の宮廷画家として制作した『夫婦の間』では、天井に描かれた「だまし絵」（トロンプ・ルイユ）の手法を用い、まるで天井が突き抜けて青空が広がっているかのような錯覚を生み出すなど、革新的な空間表現を試みました。その厳格で力強い画風は、義兄弟であるジョヴァンニ・ベリーニをはじめ、アルブレヒト・デューラーなど北方の芸術家にも大きな影響を与えました。