Edgar Degas(エドガー・ドガ) は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの画家であり、彫刻家です。印象派を代表する芸術家の一人として知られていますが、自身は「写実主義者」、あるいは「独立派」と称していました。バレエの踊り子や舞台、競馬場の情景など、近代都市生活の一瞬を捉えた作品で知られ、その独特な構図と卓越した素描力は、今日でも多くの人々を魅了し続けています。
エドガー・ドガ 経歴
- 1834年7月19日、フランス、パリの裕福な銀行家の家庭に生まれる
- 1855年、エコール・デ・ボザール(国立美術学校)に入学
- 1856年から数年間、イタリアを旅し、ルネサンス美術を研究
- 1874年、第1回印象派展に参加。以降、8回のうち7回出品する
- 1880年代以降、視力の衰えもあり、彫刻やパステル画に重点を置くようになる
- 1917年9月27日、パリにて死去(享年83歳)
代表作品
- 『ダンス教室』(The Dance Class) (1874年)
- 『舞台の踊り子』(Dancers on a Stage) (1874年頃)
- 『エトワール』(The Star) (1878年)
- 『マネとマネ夫人像』(Monsieur and Madame Manet) (1868-1869年)
エドガー・ドガの画風
エドガー・ドガの画風は、印象派の中でも異彩を放っています。彼は、戸外制作よりもアトリエでの制作を好み、鮮やかな色彩よりも形態と線描を重視しました。また、日本美術や写真の影響を受け、大胆な構図や、瞬間を切り取ったような描写が特徴です。特に、バレエの踊り子を描いた作品は、彼女たちの一瞬の動きや表情、舞台裏の様子などを、鋭い観察眼で捉えています。また、油彩だけでなく、パステルを多用したことも、ドガの画風を特徴づける要素の一つです。
代表作解説
『ダンス教室』は、バレエのレッスン風景を描いたドガの代表作です。画面中央で踊る踊り子ではなく、床に座り込む踊り子や、画面端で休む踊り子など、周囲の人物にも焦点が当てられています。この非対称で均衡を崩した構図が、ドガの独創性を示しています。『エトワール』では、舞台上で喝采を浴びる一人のプリマの姿が描かれています。この一瞬の輝きを捉えた描写は、ドガの鋭い観察眼と卓越した描写力の賜物です。
エドガー・ドガの影響と後世への評価
エドガー・ドガは、その独創的な画風で、後世の芸術家たちに大きな影響を与えました。特に、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックやパブロ・ピカソなどは、ドガから強い影響を受けたとされています。また、ドガの作品は、近代都市生活を主題とした絵画の発展に大きく貢献しました。印象派、写実主義、日本美術、写真、バレエ、パステル などのキーワードは、ドガの芸術を理解する上で重要な要素です。今日、ドガの作品は世界中の美術館に収蔵され、その芸術性は高く評価され続けています。