The Red Sultana - ティツィアーノ ヴェチェッリオ Memo.

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 経歴

• 1488/1490年頃、イタリア北部のピエーヴェ・ディ・カドーレに生まれる
• 10代の頃、ヴェネツィアに出て、ジョヴァンニ・ベッリーニの工房で修行する
• 1508年頃、ジョルジョーネと共に、フォンダコ・デイ・テデスキの外壁装飾を手掛ける
• 1516年、ジョヴァンニ・ベッリーニの死去に伴い、ヴェネツィア共和国の公式画家に任命される
• 1530年代以降、神聖ローマ皇帝カール5世や、スペイン国王フェリペ2世など、王侯貴族の肖像画を数多く手掛ける
• 1545-1546年、ローマを訪れ、ミケランジェロらと交流する
• 1576年8月27日、ヴェネツィアにて死去(享年86歳から88歳頃)

代表作品

• 『ウルビーノのヴィーナス』(Venus of Urbino) (1538年頃)
• 『教皇パウルス3世とその孫たち』(Pope Paul III and His Grandsons) (1546年)
• 『聖母被昇天』(Assumption of the Virgin) (1516年-1518年)
• 『ダナエ』(Danae) (1544年-1545年頃)
• 『バッカスとアリアドネ』(Bacchus and Ariadne) (1520年-1523年)

ティツィアーノ・ヴェチェッリオの芸術

ティツィアーノの芸術は、その豊麗な色彩表現に最大の特徴があります。「ヴェネツィアン・レッド」と呼ばれる、深みのある赤色をはじめとする鮮やかな色彩を駆使し、画面に生命感と豊かな情感をもたらしました。また、師であるジョヴァンニ・ベッリーニから受け継いだ、油彩技法をさらに発展させ、自由で大胆な筆遣いによって、対象の質感や動きをリアルに表現しました。特に、肖像画においては、モデルの外見だけでなく、その内面や社会的地位までをも描き出すことに成功し、高い評価を得ています。晩年には、荒々しい筆致と、深い精神性を感じさせる、独自の画風を確立しました。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオの影響と後世への評価

ティツィアーノは、その卓越した芸術性によって、同時代の芸術家たちだけでなく、後世の画家たちにも大きな影響を与えました。特に、ルーベンス、ベラスケス、レンブラントらは、ティツィアーノの芸術から多くを学びました。今日、ティツィアーノは、ヴェネツィア派最大の巨匠として、世界中で高く評価されています。「色彩の魔術師」「ヴェネツィアン・レッド」「ヴェネツィア派」「肖像画」などのキーワードは、ティツィアーノの芸術を理解する上で重要な要素です。その作品は、世界中の美術館に収蔵され、今なお多くの人々を魅了し続けています。