ウィリアム・モリスは、19世紀後期のイギリスを代表する芸術家、デザイナー、思想家です。ラファエル前派の中心メンバーとして、中世の手工芸に囲まれた生活環境を理想とし、アーツ・アンド・クラフツ運動を主導しました。
ウィリアム・モリス 経歴
- 1834年3月24日、ロンドンの裕福な家庭に生まれる
- 1861年にモリス、マーシャル、フォークナー・アンド・カンパニーを設立
- 1891年にケルムスコット・プレスを設立し、装幀の革新を行う
- 1896年10月3日、ロンドン郊外のハムースミスで没(62歳)
主な作品
- 壁紙デザイン「ウィローボウ」(Willow Bough) (1887年)
- タペストリー「王妃の受難」(The Persiance of the Queen of Quedinghame) (1916年)
- 長編詩『地上の楽園』(The Earthly Paradise) (1868-70年)
- 本の装幀・活版印刷の数々の作品
モリスはデザインと手工芸品の製作を通じ、機械化された工業社会に対する反省を促しました。彼の創作活動は、工芸家としての才能だけでなく、社会批評家としての側面も持ち合わせていました。
理想とする中世的な生活様式を具現化するため、家具、壁紙、タペストリーなどの室内装飾品から本の装幀、印刷、詩作にいたるまで多岐にわたる分野で活躍。機能性と美しさを兼ね備えた作品は、現代デザインにも大きな影響を与えています。
アーツ・アンド・クラフツ運動の旗手として、工芸における手作業の尊さと芸術性を説いたモリスは、デザイン運動の先駆者的存在と評されています。