Henri Edmond Cross(ヘンリ エドモンド クロス)

ヘンリ・エドモン・クロスは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてフランスで活躍した画家です。点描画法の技法を駆使した作品で知られ、新印象主義運動の中心的存在でした。

ヘンリ・エドモン・クロス 経歴

• 1856年5月20日、フランス北部のドード地方に生まれる
• 1884年頃から点描画法による作品制作を開始
• 1886年にポール・シニャック、アルベール・デュブア＝ピユらと新印象主義集団を結成
• 1890年代に入り、点描画による代表作を次々と発表
• 1910年5月16日、サン・クー近郊で没(享年53歳)

代表作品

• 『アンティーブの碇泊地』(The Anchorage at Antibe) (1909年)
• 『敷島のアルプス』(The Alpes Maritimes Seen from La Douges) (1908年)
• 『サン・トロペ湾の朝』(Morning at Cape Cider) (1904年)
• 『サン・トロペの水浴場』(The Beach at Saint-Tropez) (1899年)

クロスは新印象主義の理論的確立に重要な役割を果たしました。彼は小さな点の並べ方を工夫し、補色の点を等間隔に配置することで、新しい光と色の調和を生み出そうとしました。

代表作の風景画では、自然物を細かな点の集合体として捉え直す手法が用いられています。遠近感を排除した平面的な構成の中で、微細な色の変化と光の効果が表現されています。

クロスは理論家ポール・シニャックとともに新印象主義を力強く主導し、点描画法の可能性を大いに拡げました。後の画家たちにも大きな影響を及ぼした、この運動の中心的存在です。