「ゴッホのひまわり」と聞いて、誰もがその力強い色彩と情熱的な筆致を思い浮かべるでしょう。
しかし、いざ「ゴッホのひまわりは何枚あるの?」と聞かれると、「7枚?」「いや、12枚?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
アートをもっと身近に感じてほしい artgraph.店長マツムラが、この記事では、ゴッホ『ひまわり』に関する長年の疑問をすべて解消します。ゴッホがひまわりを描いた理由、正確な枚数、パリ時代とアルル時代の作品の特徴、そして所蔵美術館まで、アート初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたはゴッホ『ひまわり』の奥深さを理解し、自宅に飾りたくなるはずです。
ゴッホ『ひまわり』は何枚ある?

ゴッホ『ひまわり』の正確な枚数については、「7枚説」や「12枚説」など、様々な情報が飛び交っていますが、これには理由があります。ここでは、作品の全体像を把握するために、まず枚数の疑問を解消していきましょう。
- ゴッホの『ひまわり』は7枚あると言われる理由
- ゴッホの『ひまわり』が12枚あると言われる理由
この2つの理由について、次に詳しくご紹介します。
ゴッホの『ひまわり』は7枚あると言われる理由
「7枚」と言われるのは、一般的に最も有名で、ゴッホが芸術家としての絶頂期に描いたとされる、南仏アルル時代の「花瓶に生けられたひまわり」のシリーズ(計7点)を指します。
この7点のうち、1点は焼失しましたが、残りの6点が世界各地の著名な美術館に所蔵されているため、この7点が最も注目される作品群となっています。
この7枚のひまわりは、花瓶に生けた形で、色彩も明るく、ゴッホの『ひまわり』というと、この7作品を指すのが一般的です。
ゴッホの『ひまわり』が12枚あると言われる理由
「12枚」と言われるのは、上記のアルル時代の7枚に加えて、ゴッホが弟テオと共に過ごしたパリ時代の「ひまわり」作品(計4点)と、別の静物画1点を合算した数字であるケースが多いです。
パリ時代の『ひまわり』は、花瓶に生けられていない、切り花や床に置かれた状態の作品が多く、アルル時代とは作風が大きく異なります。これらも含めると、ゴッホが描いた「ひまわり」をモチーフとした作品は12点前後になると言われています。
ゴッホ『ひまわり』を描いた理由とは?
ゴッホがアルルで『ひまわり』の連作を手がけた主な理由は、敬愛する画家ポール・ゴーギャンとの共同生活のために借りた「黄色い家」の室内装飾のためでした。
彼はゴーギャンを迎えるにあたり、家の壁を明るく飾りたいと考え、特にひまわりをモチーフに選びました。ゴッホにとってひまわりは、太陽、光、そして南フランス(アルル)の象徴であり、友情や感謝の気持ちを表す特別な花だったのです。
彼はゴーギャンに宛てた手紙の中で、「ひまわりで壁一面を飾る計画だ」と意気込みを語っており、短期間に集中して複数の『ひまわり』を描き上げました。この連作は、ゴーギャンを歓迎するための「黄色と青のシンフォニー(交響曲)」の一部となるはずでした。
ポイント:『ひまわり』連作は、ゴーギャンとの共同生活への期待と、南フランスの太陽への憧憬から生まれた、ゴッホの情熱の結晶だったのです。
ゴッホ『ひまわり』パリ時代の4枚の特徴や魅力
ゴッホがパリに滞在していた1887年に描かれた『ひまわり』は、まだ印象派の影響が色濃く、後のアルル時代の作品と比べると、色使いや筆致に違いが見られます。
- パリ時代は「花瓶なし」が多い
- アルル時代に比べて色が落ち着いている
ここでは、代表的なパリ時代の作品を例にご紹介します。
ゴッホパリ時代の『ひまわり①』

フィンセント・ファン・ゴッホがパリ滞在期(1886-1887年)に描いた『ひまわり』は、後の傑作シリーズとは趣が大きく異なります。
この最初のシリーズは、主に花瓶に生けられていない切り花や、種になって枯れゆくひまわりがモチーフです。これは、単なる美しい花としてではなく、生命の終焉や静物としての観察という側面を捉えようとしたゴッホの探求心を示しています。
色彩は、オランダ時代の暗さから脱却し、印象派の影響を受けた明るい色調に変わりつつありますが、アルル時代の爆発的な純粋な黄色とは異なり、緑や土色が混ざった落ち着いたトーンが特徴です。
ゴッホパリ時代の『ひまわり②』

ゴッホがパリ滞在中の1887年に描いた《Two Cut Sunflowers》は、アルル時代の有名な連作に先立つ、初期の「ひまわり」作品の一つです。
この絵は、花瓶ではなく、テーブルの上に無造作に置かれた二輪のひまわりを主題としています。色彩はまだ抑制的で、アルル時代の純粋な黄色とは異なり、青みがかった背景の中で、花が静かに描かれています。
ゴッホパリ時代の『ひまわり③』

こちらもゴッホがパリ滞在中に描いた初期の「ひまわり」作品の一つです。
ゴッホが生命の終わりや花の静物というテーマを模索していた、過渡期の重要な作品です。
ゴッホパリ時代の『ひまわり④』

ゴッホがパリ時代の1887年頃に制作した《Four Withered Sunflowers》は、彼の初期の「ひまわり」作品群の中でも特に異彩を放ちます。
この作品は、切り取られ、種をつけ、すでに枯れ始めているひまわり四本を描いています。アルル時代の生命力あふれる満開のひまわりとは対照的で、ゴッホが生命のサイクルや死といったテーマに関心を寄せていたことを示唆しています。背景は暗く、写実的な表現が強いのが特徴です。
ゴッホ『ひまわり』アルル時代の7枚の特徴や魅力
ゴッホが最も有名な『ひまわり』シリーズを描いたのは、1888年から1889年にかけての南仏アルル時代です。この時代に描かれた「花瓶に生けられたひまわり」の7枚こそが、彼の代名詞となりました。
- 「黄色い家」での共同生活を夢見て描かれた
- ひまわりの本数や背景の色が作品ごとに異なる
特に有名なのは、ロンドン・ナショナル・ギャラリーや東京の損保ジャパン日本興亜美術館(現SOMPO美術館)に所蔵されている作品です。
ゴッホ『ひまわり』1作目

アルル時代にゴッホが初めて描いた花瓶のひまわりです。後の作品が12本や15本で構成されるのに対し、本作はたった3本のひまわりが活けられているのが最大の特徴です。
鮮やかな水色の背景は、共同生活を計画したゴーギャンのために用意した「黄色い家」の壁紙の色を反映しており、ひまわりの黄色と強いコントラストを生み出し、圧倒的な生命力を表現しています。
ゴッホ『ひまわり』2作目

アルル時代の「ひまわり」の2作目(通称「芦屋のひまわり」)は、残念ながら1945年の空襲で焼失してしまった作品です。
他の作品と異なる点としては、花瓶から外に2本が垂れ下がるように描かれており、合計5本のひまわりが配置されていました。背景には濃い青色が使われ、ひまわりの黄色との対比が際立っています。1作目の3本に比べ本数が増え、枯れ始めた花も描かれるなど、前作よりも暗く、静かな雰囲気を持っていたとされています。
ゴッホ『ひまわり』3作目

ゴッホが1888年8月に描いた「ひまわり」の3作目(ミュンヘン・ノイエ・ピナコテーク所蔵版)は、後の連作の原型となった傑作です。
最大の特徴は、12本のひまわりが花瓶いっぱいに活けられ、生命力が溢れている点です。それまでの作品と異なり、ひまわりの黄色が際立つよう、背景も明るい黄色で統一されています。これにより、ひまわりの様々な色や表情が強調され、ゴッホらしい大胆な筆致と相まって、画面全体が光り輝くような印象を与えます。
ゴッホ『ひまわり』4作目

ゴッホが1889年1月に描いた、アルル時代の「ひまわり」の決定版です(ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵)。
この作品の大きな特徴は、花瓶に活けられたひまわりの数が15本と、過去最多である点です。全体が黄色一色で、背景と花瓶、ひまわりが溶け合うように描かれ、ゴッホが追い求めた「黄色のシンフォニー」が完成されています。厚塗りの力強い筆致が、ひまわりの燃えるようなエネルギーを画面いっぱいに伝えています!
ゴッホ『ひまわり』5作目

日本で唯一常設展示されているゴッホの『ひまわり』です。
1987年に当時の安田火災海上保険(現・損害保険ジャパン)が約53億円(当時のレート)で購入し、大きな話題となりました。
構図はロンドン版と非常によく似ていますが、こちらはロンドン版を元にゴッホ自身が描いた「繰り返し(レプリカ)」とされています。色合いや筆致に微妙な違いが見られます。
ゴッホ『ひまわり』6作目

ゴッホのアルル時代の「ひまわり」の6作目(ファン・ゴッホ美術館所蔵)です。
この作品は、ロンドン版(4作目)をゴッホ自身が忠実に模写した、後期の連作の一つです。
他の作品と比べて特異なのは、ゴッホが完成後、キャンバスの上部に木片を継ぎ足して構図を修正している点です。本数は同じ15本ですが、ロンドン版よりもさらに絵の具の厚みと鮮やかさが増しており、ゴッホが追及した「黄色のシンフォニー」が完成した姿を見せています。残念ながら、現在は貸し出しが禁じられるほど損傷が進んでおり、その貴重さが際立っています。
ゴッホ『ひまわり』7作目

この作品は、アルル時代にゴッホ自身が描いたレプリカ(繰り返し)の連作のうちの1枚です。正式には《花瓶のひまわり》と呼ばれ、フィラデルフィア美術館が所蔵しています。
他の作品と異なる特徴は、背景が水色に近い薄いエメラルドグリーンである点です。ひまわりの本数は12本で、ミュンヘン版(3作目)を模写したものとされています。ゴッホは、同じモチーフを何度も描くことで、色彩や筆致を探求しました。
3枚目と比較すると、花瓶の枠やひまわりの種の部分の赤みがより濃くなったのがわかりますね。
ゴッホのひまわりは何がすごい?
単にひまわりを描いた作品は他にもありますが、なぜゴッホの『ひまわり』だけが世界的に有名なのでしょうか。
ゴッホの『ひまわり』の魅力は、絵具の塗り方に隠されています。
彼が描いたひまわりは、まるで太陽のエネルギーをギュッと閉じ込めたように、黄色が眩しいほど鮮烈です。
その秘密は、絵具を厚く盛り上げた「力強い筆の跡」。絵の表面がデコボコしていることで、ひまわりが本当に生きているような立体感と迫力が生まれています。
単に花を描いただけではなく、ゴッホ自身の熱い気持ちや、生きる喜びを色と筆の動きで爆発させた、魂の傑作なのです。
ゴッホ『ひまわり』パリ時代とアルル時代の違い
その凄さは、「感情表現」と「色彩の革新性」にあります。
| 項目 | パリ時代の『ひまわり』 | アルル時代の『ひまわり』 |
|---|---|---|
| モチーフ | 切り花、床置きなど | 花瓶に生けられた静物 |
| 色調 | やや落ち着いた色、中間色 | 圧倒的な黄色、情熱的 |
| 筆致 | 比較的おとなしい | ダイナミックな厚塗り(インパスト) |
| テーマ | 花の終焉、静物 | 光、希望、友情 |
アルル時代の『ひまわり』は、黄色という単一の色を、レモンイエローからオレンジ、茶色へと驚くほど豊かに使い分け、ゴッホの心の内の情熱と苦悩を見事に表現している点が、他の追随を許さない最大の魅力です。
ゴッホにとって『ひまわり』が意味するもの
ゴッホにとって『ひまわり』は単なる花の絵ではなく、特別な意味を持つモチーフでした。
「黄色」への特別な思い
ゴッホは黄色という色に特別な価値を見出していました。彼にとって黄色は、太陽の光、生命力、希望、そして彼が憧れた南フランス(アルル)の明るさを象徴する色でした。『ひまわり』の連作は、まさにその「黄色」を追求した作品群と言えます。彼は様々なトーンの黄色を使い分け、ひまわりの持つエネルギッシュな生命力を表現しようとしました。
ゴーギャンとの共同生活への期待
前述の通り、『ひまわり』はゴーギャンとの共同生活を夢見て「黄色い家」を飾るために描かれました。ひまわりは、ゴーギャンを歓迎し、共に芸術活動を行うことへの熱い期待と友情の象徴でした。しかし、残念ながら二人の共同生活はわずか2ヶ月で破綻してしまいます。その後のゴッホの人生を考えると、『ひまわり』に込められた希望の輝きは、より一層切なく、観る者の心に響きます。
画家としての自己表現
『ひまわり』には、ゴッホ独自の画風が確立されていることが見て取れます。絵の具を厚く塗り重ねる「インパスト」技法による力強い筆致、大胆な色彩表現、そして対象の内面にある生命力まで描き出そうとする情熱的なアプローチは、ポスト印象派の画家としてのゴッホの特徴をよく表しています。
ゴッホ『ひまわり』どこで見れる?
ゴッホ『ひまわり』の主な所蔵美術館をまとめてご紹介します。実際に作品を見に行かれる際の参考にしてください。
- 日本でゴッホ『ひまわり』が見られる場所
- 世界の主なゴッホ『ひまわり』所蔵館
日本でゴッホ『ひまわり』が見られる場所
日本国内でゴッホ『ひまわり』を見ることができるのは、SOMPO美術館(東京・新宿)です。この作品はアルル時代に描かれた「15本のひまわり」のうちの一点で、特に貴重なものです。
世界の主なゴッホ『ひまわり』所蔵館
世界に所蔵されているアルル時代の『ひまわり』の主要な所蔵館は以下の通りです。
- ロンドン・ナショナル・ギャラリー(イギリス)
- ノイエ・ピナコテーク(ドイツ・ミュンヘン)
- フィラデルフィア美術館(アメリカ)
- ファン・ゴッホ美術館(オランダ・アムステルダム)
- メトロポリタン美術館(アメリカ・ニューヨーク)
ゴッホ『ひまわり』をご自宅で楽しもう!
今回は、ゴッホ『ひまわり』の作品の枚数にまつわる謎から、パリ時代とアルル時代の特徴、そして所蔵美術館まで詳しく紹介しました。
ゴッホ『ひまわり』の持つ力強いエネルギーは、見る人に活力と希望を与えてくれます。
しかし、残念ながら、有名なゴッホ『ひまわり』の作品は現在、世界の美術館に所蔵されており、なかなか実物を見る機会がありません。ですが、ご安心ください。高品質なアートポスターやアートパネル(アートキャンバス)を活用すれば、その感動を自宅で毎日楽しむことができます。
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ゴッホ ひまわり アートポスター ファン・ゴッホ アルル
