【プロが選ぶ】アンリ・ド・トゥールーズ＝ロートレックの代表作TOP10！名作をアートパネルで楽しむ方法

「アンリ・ド・トゥールーズ＝ロートレックの有名な作品って何だろう？」「代表作をランキングで知りたいな」

19世紀末のパリ、モンマルトルの喧騒と哀愁を描き出した画家、アンリ・ド・トゥールーズ＝ロートレック。彼の作品は、今なお世界中の人々を魅了し続けています。しかし、具体的にどの作品が有名で、どのような背景があるのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ロートレックの数ある名作の中から、特に有名で人気の高い代表作をランキング形式でTOP10までご紹介します。さらに、彼のドラマチックな生涯や、お気に入りの作品を自宅でおしゃれに飾る方法まで徹底解説。

この記事を読めば、ロートレックの芸術世界への理解が深まるだけでなく、あなたのお部屋を彩るアートパネル選びのヒントも見つかるはずです。高品質なアートプリントサービス「artgraph」が、プロの視点でお届けします。

アンリドトゥールーズロートレックの有名な代表作ランキングTOP10

それでは早速、ロートレックの代表作をランキング形式で見ていきましょう。彼の代名詞ともいえるポスターアートから、人間味あふれる油彩画まで、珠玉の作品をご紹介します。

第1位: ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ (Moulin Rouge, La Goulue) - 1891年

ロートレックの名をパリ中に轟かせた、記念碑的作品です。当時モンマルトルにオープンしたばかりのダンスホール「ムーラン・ルージュ」の宣伝ポスターとして制作されました。中央でスカートを蹴り上げているのが、スターダンサーの「ラ・グーリュ（大食い）」。彼女の躍動感と、シルクハットの男（ラ・グーリュのダンスパートナー）の不気味なシルエットの対比が強烈なインパクトを与えます。日本の浮世絵から影響を受けた大胆な構図と色彩は、当時の広告の常識を覆す革新的なものでした。

第2位: ディヴァン・ジャポネ (Divan Japonais) - 1893年

「日本の長椅子」という意味のカフェ・コンセールを描いた作品。客席に座る有名ダンサーのジャヌ・アヴリルと、その隣の人物の黒いシルエットが印象的です。舞台上で歌うのは、顔が見えず黄色いドレスだけが描かれた歌手イヴェット・ギルベール。主役をあえてシルエットや部分的に描くことで、観客の視線を誘導し、場の雰囲気を巧みに表現しています。まさに「ジャポニスム」の影響を色濃く感じさせる傑作ポスターです。

第3位: アンバサドゥールのアリスティッド・ブリュアン (Ambassadeurs, Aristide Bruant) - 1892年

黒いマントに赤いスカーフ、黒い帽子という出で立ちで観客に背を向ける男。シャンソン歌手アリスティッド・ブリュアンを描いたこのポスターは、一度見たら忘れられないほどの存在感を放ちます。シンプルながらも力強い色彩とデザインは、ブリュアン自身の個性とカリスマ性を見事に捉えており、商業ポスターを芸術の域にまで高めたロートレックの手腕が光ります。

第4位: ジャヌ・アヴリル (Jane Avril) - 1893年

ロートレックがミューズとして愛し、数多くの作品に描いたダンサー、ジャヌ・アヴリル。このポスターでは、彼女が舞台で踊る一瞬の動きを、しなやかな曲線と大胆な色彩で捉えています。背景の楽器（コントラバス）のネック部分が、彼女の脚線美をさらに引き立てる効果的な構図となっています。洗練されたデザインセンスが光る、おしゃれな一枚です。

第5位: ムーラン街のサロンにて (Au salon de la rue des Moulins) - 1894年

ロートレックの油彩画における最高傑作との呼び声も高い作品です。描かれているのは、娼館で客を待つ娼婦たちの日常。華やかな世界の裏側にある、彼女たちの気だるさや倦怠感、そして人間的な温かみが、深みのある色彩と巧みな筆致で表現されています。単なる風俗画ではなく、社会の片隅で生きる人々の魂を描き出した、深い洞察に満ちた一枚です。

第6位: 二人の女友達 (Les deux amies) - 1895年

娼婦たちの私的な空間を覗き見るような、親密な雰囲気に満ちた作品。同性愛的なニュアンスを含むこの絵は、当時の社会ではスキャンダラスな主題でしたが、ロートレックは彼女たちに批判的な視線を向けることなく、ありのままの姿を温かく見つめています。柔らかな光と色彩が、二人の親密な関係性を美しく描き出しています。

第7位: イギリス人の女（コンフェッティ） (La passagère du 54 ou Promenade en yacht) - 1895年

もともとは紙吹雪（コンフェッティ）の広告ポスターとして制作されたリトグラフです。船のデッキに立つエレガントな女性が描かれており、これまでのモンマルトルの喧騒とは一味違った、洗練された雰囲気が魅力です。風に揺れる髪やドレスの表現、爽やかな色使いが、上品な印象を与えます。インテリアとしても飾りやすい人気の作品です。

第8位: ベッドで (Au lit) - 1892年

二人の女性がベッドの中で寄り添う姿を描いた、親密で温かみのある作品。これも娼館の女性たちを描いた連作の一つですが、そこにあるのは性的な描写ではなく、深い安らぎと信頼感です。ロートレックが彼女たちといかに親しい関係を築いていたかがうかがえる、人間愛に満ちた名作です。

第9位: 洗濯女 (La blanchisseuse) - 1886年

ロートレックの初期の油彩画で、ゴッホやドガからの影響が見られる作品です。モデルは、ロートレックが恋に落ちたといわれるカルマン・ゴーダン。うつむき加減で仕事をする彼女の姿には、労働の厳しさと共に、内面の美しさが表現されています。力強い筆致と写実的な描写が特徴です。

第10位: イヴェット・ギルベール (Yvette Guilbert) - 1894年

黒い長い手袋をトレードマークとし、辛辣な歌で人気を博した歌手イヴェット・ギルベール。ロートレックは彼女のファンで、多くのスケッチやリトグラフを残しました。この作品では、彼女の特徴的なジェスチャーと表情を、最小限の線で見事に捉えています。彼のデッサン力の高さを証明する一枚です。

アンリドトゥールーズロートレックの代表作　番外編

ランキングには入りませんでしたが、ロートレックの多才さを示す興味深い作品も存在します。例えば、晩年に描かれた**「自動車の運転手」**（1898年）は、当時まだ珍しかった自動車を主題にしたリトグラフで、新しいものへの彼の好奇心が感じられます。また、サーカスを題材にした一連のデッサンも、動物や曲芸師の動きを瞬時に捉える卓越した観察眼を示しています。これらの作品からは、ポスター画家としてだけでなく、近代生活のあらゆる側面を描き出す「記録者」としてのロートレックの姿が浮かび上がってきます。

アンリドトゥールーズロートレックとは

アンリ・マリー・レイモン・ド・トゥールーズ＝ロートレック＝モンファ（1864-1901）は、フランスの名門貴族の家に生まれました。しかし、幼少期の2度の骨折事故により、下半身の成長が止まってしまいます。身体的なコンプレックスを抱えた彼は、貴族社会から離れ、芸術家たちが集うパリのモンマルトルへと移り住みます。

そこで彼は、キャバレーやダンスホール、娼館に入り浸り、踊り子、歌手、娼婦といった、華やかな世界の裏側で生きる人々を愛情のこもった視線で描き続けました。特に、当時新しい印刷技術であったリトグラフを用いたポスター制作で才能を開花させ、商業広告を芸術作品へと昇華させた功績は計り知れません。しかし、彼の生活はアルコールに蝕まれ、36歳という若さでその短い生涯を閉じました。