【専門家が選ぶ】ミケランジェロの代表作ランキングTOP10！天才の傑作を徹底解説

「ミケランジェロの有名な作品って何があるんだろう？」「美術の教科書で見た『ダヴィデ像』以外にも代表作を知りたい」
ルネサンス期の巨匠、ミケランジェロ・ブオナローティ。彼の作品は、500年以上経った今もなお、世界中の人々を魅了し続けています。しかし、彫刻、絵画、建築と多岐にわたる彼の作品の中で、どれが特に重要なのかを知るのは難しいかもしれません。

この記事では、美術史における重要度や知名度をもとに、ミケランジェロの代表作をランキング形式でTOP10までご紹介します。さらに、彼の人物像や、その傑作をご自宅で楽しむ方法まで詳しく解説。

この記事を読めば、あなたもミケランジェロの作品世界の深さに触れ、アート鑑賞がもっと楽しくなるはずです。

ミケランジェロの有名な代表作ランキングTOP10

「神のごとき」と称された万能の天才、ミケランジェロ。彼が残した数々の傑作の中から、特に有名で美術史的にも重要な作品をランキング形式でご紹介します。彫刻、絵画、建築と、彼の多才ぶりがわかるラインナップです。

第1位ダヴィデ像

制作年: 1501年 - 1504年
種類: 彫刻（大理石）
所蔵: アカデミア美術館（フィレンツェ）

ミケランジェロの代名詞ともいえる、ルネサンス彫刻の最高傑作『ダヴィデ像』。旧約聖書に登場する英雄ダヴィデが、巨人ゴリアテとの戦いに臨む直前の緊張感を捉えた作品です。高さ5メートルを超える巨大な大理石から掘り出された、完璧な肉体美と強い意志を宿した表情は、観る者を圧倒します。元々はフィレンツェ大聖堂のために制作されましたが、その素晴らしさからフィレンツェ共和国の自由と独立の象徴として市庁舎前に設置されました。

第2位最後の審判

制作年: 1536年 - 1541年
種類: 絵画（フレスコ画）
所蔵: システィーナ礼拝堂（ヴァチカン）

ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂の祭壇壁をすべて覆う、壮大なフレスコ画です。世界の終わりにキリストが再臨し、人々を裁く「最後の審判」の場面が、400人以上の人物によってドラマティックに描かれています。中央に描かれた力強いキリストを中心に、天国へと昇る者、地獄へと堕ちる者たちの様々な感情が渦巻く様は、まさに圧巻の一言。ミケランジェロの人間観察の鋭さと、圧倒的な構成力を感じさせます。

第3位天地創造

制作年: 1508年 - 1512年
種類: 絵画（フレスコ画）
所蔵: システィーナ礼拝堂（ヴァチカン）

『最後の審判』と同じく、システィーナ礼拝堂の天井に描かれた大壁画です。旧約聖書の創世記をテーマに、「光と闇の分離」から「ノアの泥酔」までの9つの場面が描かれています。中でも、神がアダムに生命を吹き込む「アダムの創造」は、指と指が触れ合う寸前の描写が非常に有名で、多くのパロディやオマージュを生み出しました。ミケランジェロがたった一人で、4年の歳月をかけて完成させた驚異的な作品です。

第4位ピエタ（サン・ピエトロのピエタ）

制作年: 1498年 - 1500年
種類: 彫刻（大理石）
所蔵: サン・ピエトロ大聖堂（ヴァチカン）

十字架から降ろされたキリストを腕に抱き、悲しみにくれる聖母マリアを表現した彫刻作品。ミケランジェロが20代前半という若さで制作したとは思えないほどの、驚くべき完成度を誇ります。静かで深い悲しみを湛えた聖母の表情、力なく横たわるキリストの肉体のリアルな表現、そして滑らかに彫られた衣服のひだなど、技術的な完璧さと精神的な深みが融合した傑作です。

第5位モーセ像

制作年: 1513年 - 1515年頃
種類: 彫刻（大理石）
所蔵: サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会（ローマ）

教皇ユリウス2世の墓廟のために制作された、旧約聖書の預言者モーセの彫刻です。十戒の石板を脇に抱え、威厳に満ちた表情で座る姿は、神々しいほどの迫力を持っています。特に、力強く隆起した腕の筋肉や、長く豊かな髭の緻密な表現は、ミケランジェロの彫刻家としての技量の高さを物語っています。頭部から生えている2本の角は、当時の聖書の誤訳によるものとされていますが、作品に超人的な力強さを与える要素となっています。

第6位聖家族（ドニ・トンド）

制作年: 1507年頃
種類: 絵画（テンペラ画）
所蔵: ウフィツィ美術館（フィレンツェ）

現存するミケランジェロ作のパネル画として、ほぼ唯一完成している貴重な作品です。聖母マリア、養父ヨセフ、そして幼子イエスが描かれた円形の絵画（トンド）で、鮮やかな色彩と彫刻のように立体的で力強い人物描写が特徴です。人物たちの複雑に絡み合うポーズは、後のマニエリスム様式に大きな影響を与えました。

第7位サン・ピエトロ大聖堂のクーポラ（円屋根）

制作年: 1546年 - （ミケランジェロの死後1590年に完成）
種類: 建築
所蔵: サン・ピエトロ大聖堂（ヴァチカン）

ミケランジェロは晩年、建築家としてもその才能を発揮しました。その最大の功績が、カトリックの総本山であるサン・ピエトロ大聖堂の設計です。特に、彼が設計した巨大なクーポラ（ドーム）は、ローマの街の象徴的な景観を作り出しています。力強く、かつ優美な曲線を描くドームは、建築を「石の彫刻」と捉えていたミケランジェロの思想を体現しています。

第8位瀕死の奴隷

制作年: 1513年 - 1516年頃
種類: 彫刻（大理石）
所蔵: ルーヴル美術館（パリ）

『モーセ像』と同じく、ユリウス2世の墓廟のために制作された彫刻群の一つです。肉体的な苦痛と精神的な陶酔が入り混じったかのような表情で、死を迎えようとする若者の姿を捉えています。あえて磨き上げずに鑿（のみ）の跡を残した「未完（ノン・フィニート）」の技法が、かえって作品に独特の生命感と情感を与えており、ロダンをはじめ後世の芸術家たちに多大な影響を与えました。

第9位カンピドリオ広場

制作年: 1538年 - 設計開始
種類: 建築・都市計画
所蔵: カンピドリオの丘（ローマ）

ローマの七丘の一つ、カンピドリオの丘にある広場の設計もミケランジェロが手掛けました。彼は、既存の建物を巧みに改修・配置し、美しい幾何学模様の床を持つ、調和のとれた広場空間を創り出しました。中央にはマルクス・アウレリウス帝の騎馬像を据え、建物に巨大な柱の様式（ジャイアント・オーダー）を取り入れるなど、壮大で統一感のあるデザインは、バロック様式の広場の先駆けとなりました。

第10位ラウレンツィアーナ図書館

制作年: 1524年 - 設計開始
種類: 建築
所蔵: サン・ロレンツォ聖堂（フィレンツェ）

メディチ家が収集した貴重な写本を収めるために建設された図書館です。特に、玄関ホール（リチェット）の独創的なデザインは必見です。壁に埋め込まれた柱や、装飾的で実際には機能しない階段など、従来の建築ルールを意図的に破った自由な発想は、マニエリスム建築の傑作と評価されています。

ミケランジェロの代表作　番外編

ランキングには入りきらなかったものの、ミケランジェロを語る上で欠かせない作品も存在します。その一つが、彼が死の数日前まで手掛けていたとされる『ロンダニーニのピエタ』です。サン・ピエトロのピエタとは対照的に、極限まで無駄を削ぎ落としたフォルムが特徴で、キリストを支える聖母の姿は、肉体を超えた魂の結びつきを感じさせます。完成された美とは異なる、ミケランジェロの晩年の境地が表れた感動的な作品です。

ミケランジェロとは

ミケランジェロ・ディ・ロドヴィーコ・ブオナローティ・シモーニ（1475-1564）は、盛期ルネサンスを代表するイタリアの芸術家です。彫刻家、画家、建築家、そして詩人としても一流の才能を発揮し、「万能の天才」と称されました。

フィレンツェ共和国のカプレーゼに生まれ、若くしてメディチ家の庇護を受け、才能を開花させます。彼の作品は、人体の解剖学に基づいた正確な描写と、感情や精神性を力強く表現する「テリビリタ（凄味）」と呼ばれる様式が特徴です。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ・サンティオと並び、ルネサンスの三大巨匠の一人とされていますが、気難しく孤高な性格であったとも伝えられています。90年近い長い生涯を通じて、精力的に創作活動を続け、西洋美術史に不滅の足跡を残しました。

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