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アシュカン派:ゴミ箱から生まれたリアリズム、近代アメリカの光と影

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こんにちは!artgraph.店長のマツムラです。「アートをもっと身近に」をコンセプトに、日々アートの魅力をお届けしています。

さて、皆さんは「アシュカン派(Ashcan School)」という名前を聞いたことがありますか? ちょっと変わった名前ですが、20世紀初頭のアメリカ美術を語る上で欠かせない、とても重要な芸術運動なんです。なぜ彼らが「ゴミ箱派」とまで呼ばれたのか、そのリアリズムあふれる作品世界は、まさに近代アメリカの光と影を映し出しています。

この記事では、アシュカン派がどのような芸術運動で、なぜ重要なのか、代表的な画家や作品を通して分かりやすく解説します。当時の活気と混沌に満ちたニューヨークなど、近代アメリカのリアルな姿を知る手がかりにもなるはずです。一緒にアシュカン派の世界を探求してみましょう!

アシュカン派とは? - 「ゴミ箱」と呼ばれたリアリズム運動

アシュカン派は、20世紀初頭のニューヨークを中心に活動したアメリカの画家グループによる芸術運動です。その最大の特徴は、当時の保守的な美術界が目を向けなかった、都市に生きる人々の「ありのままの日常」を主題とした点にあります。

都市の日常をありのままに描く

彼らがキャンバスに描いたのは、きらびやかな上流階級の生活ではなく、移民や労働者階級の人々、雑多な街角、酒場、ボクシングの試合といった、都市生活のリアルな風景でした。当時のアカデミックな美術(アカデミズム)が理想化された美を追求したのに対し、アシュカン派は美しさだけでなく、時には醜さや猥雑さをも含んだ現実(リアリズム)を力強く描き出したのです。

ジョン・スローン作『McSorley's Back Room』 - 酒場の奥の部屋でくつろぐ人々を描いたアシュカン派らしい日常風景
ジョン・スローン『McSorley's Back Room』(1912年頃) - アシュカン派が捉えた、飾らない都市生活の一例。

社会への鋭い眼差し

アシュカン派の作品は、単なる風景や風俗の記録ではありません。そこには、急激な都市化や工業化が進む中で生まれた貧困、格差、社会問題に対する画家たちの鋭い観察眼がうかがえます。彼らの多くは元々新聞のイラストレーター(挿絵画家)としての経験を持ち、ジャーナリスティックな視点を持っていたことも、その作風に影響を与えています。

力強い筆致と表現

技法的には、荒々しく、素早い筆致(ブラッシュワーク)や、都市の煤けた空気を反映したような暗めの色彩が特徴です。対象を美化せず、むしろそのエネルギーや生々しさを捉えようとする表現は、当時の保守的な批評家からは「下品」「粗野」と批判され、「アシュカン(Ashcan = ゴミ箱)」という蔑称で呼ばれるきっかけにもなりました。

アシュカン派の由来: 「アシュカン(ゴミ箱)」という名前は、彼らが描く主題が、伝統的な美の基準から見て「取るに足らない」「汚い」ものと見なされたことから、批判的な意味合いで使われ始めた蔑称でした。しかし、後にこのグループを象徴する名称として定着します。

アシュカン派の歴史 - アメリカ美術界への挑戦と「ザ・エイト」

アシュカン派の中心人物となったのは、指導的な画家であったロバート・ヘンライです。彼はフィラデルフィアで新聞の挿絵画家として活動していたジョン・スローン、ウィリアム・グラッケンズ、エヴァレット・シン、ジョージ・ラクスらと親交を深め、後に彼らと共にニューヨークへ移ります。

当時のアメリカ美術界は、ヨーロッパの影響を受けた保守的なアカデミズムが主流であり、ナショナル・アカデミー・オブ・デザイン(National Academy of Design)などがその権威を握っていました。ヘンライとその仲間たちの作品は、その主題や技法の新しさから、アカデミーの展覧会でしばしば落選させられます。

これに反発したヘンライは、1908年、自身のグループ(スローン、グラッケンズ、シン、ラクス)に、アカデミーとは異なる作風を持つアーサー・B・デイヴィス、アーネスト・ローソン、モーリス・プレンダーガストを加えた8人で、ニューヨークのマクベス画廊(Macbeth Galleries)にてグループ展を開催します。これが後に「ザ・エイト(The Eight)」と呼ばれる、アメリカ美術史における重要な出来事となりました。「ザ・エイト」の全員がアシュカン派というわけではありませんが、この展覧会は保守的な美術界に対する挑戦であり、アシュカン派の存在感を高めるきっかけとなりました。

アシュカン派の活動は、1913年のアーモリー・ショー(国際現代美術展)などを経て、アメリカ独自のモダニズム美術が発展していく上で、重要な布石となったのです。

アシュカン派を代表する画家と作品

アシュカン派には多くの才能ある画家がいましたが、ここでは特に中心的な役割を果たした3人を紹介します。

ロバート・ヘンライ(Robert Henri, 1865-1929):指導者にして革新者

アシュカン派の精神的な支柱であり、優れた教育者でもありました。彼は「芸術は人生のためにある」と考え、日常の中に美を見出すことの重要性を説きました。彼の肖像画は、モデルの内面や尊厳を捉えようとする力強さを持っています。

ロバート・ヘンライ『雪、ニューヨーク』(1902) - 都会の冬景色を描いた作品例
ロバート・ヘンライ『雪、ニューヨーク』(1902) - 都市の日常風景も彼の重要なテーマでした。
ロバート・ヘンライ (Robert Henri)
アシュカン派の中心人物であり指導者。芸術における「真実」と「生命力」を追求し、後進の育成にも力を注いだ。

ジョージ・ベローズ(George Bellows, 1882-1925):都市のエネルギーを描く

ヘンライの教え子の中でも特に才能を発揮した画家です。彼は、ボクシングの試合や建設現場、ニューヨークの雑踏など、都市のエネルギッシュな側面をダイナミックな筆致で描きました。代表作『崖の住人』は、密集したアパートに暮らす人々の夏の日の様子を生々しく捉えています。

ジョージ・ベローズ『崖の住人』(1913) - ニューヨークのローワー・イースト・サイドの集合住宅とそこに暮らす人々を描いた代表作
ジョージ・ベローズ『崖の住人』(1913) - 都市生活の熱気と混沌が伝わってくるようです。
ジョージ・ベローズ (George Bellows)
ヘンライ門下生。都市のダイナミズム、特にスポーツシーンや群衆の描写で高い評価を得た。若くして亡くなったが、アメリカ美術に大きな足跡を残した。

ジョン・スローン(John Sloan, 1871-1951):日常の観察者

元新聞挿絵画家であり、街角の風景や人々の何気ない仕草を温かい眼差しで捉えました。彼の作品は、しばしばユーモアやペーソス(哀愁)を感じさせます。代表作『マクソーリーズ・バー』は、当時の労働者階級が集う酒場の雰囲気を生き生きと伝えています。

ジョン・スローン『マクソーリーズ・バー』(1912) - 当時のニューヨークにあった男性専用の酒場の様子を描いた作品
ジョン・スローン『マクソーリーズ・バー』(1912) - 集う人々の表情や空気感まで描写されています。
ジョン・スローン (John Sloan)
ヘンライと共にフィラデルフィアからニューヨークへ移った中心メンバーの一人。都市生活の観察者として、日常の情景を数多く描いた。

なぜアシュカン派は重要なのか?現代への影響

アシュカン派は、アメリカ美術がヨーロッパのアカデミズムの影響から脱却し、自国の現実社会に根ざした独自の表現を獲得する上で、極めて重要な役割を果たしました。彼らが切り開いたリアリズムの道は、その後のアメリカン・シーン・ペインティングや社会派リアリズムといった芸術運動へと繋がっていきます。

また、彼らの作品は、20世紀初頭という激動の時代を生きたアメリカの都市生活、移民文化、社会の姿を記録した貴重な資料でもあります。美術史的な価値だけでなく、歴史的・文化的な価値も非常に高いと言えるでしょう。彼らが捉えた「ありのままの現実」は、100年以上経った今でも私たちに多くのことを語りかけてくれます。

お部屋で感じるアシュカン派の世界 - artgraph.のおすすめアート

アシュカン派の作品が持つ、時代の空気感、都市のエネルギー、そしてありのままの現実を描き出すリアリズムの魅力。そんな力強さや物語性を、あなたの日常空間に取り入れてみませんか?

artgraph.では、アシュカン派の代表的な作品を高精細ジークレープリントで再現したアートポスターアートパネルをご用意しています。例えば、ジョージ・ベローズの『崖の住人』が放つエネルギッシュな雰囲気や、ジョン・スローンの『マクソーリーズ・バー』が醸し出す当時の酒場の空気感を、お部屋で気軽に楽しむことができます。

一枚飾るだけで、お部屋に深みとストーリーが生まれます。当時のアメリカの息吹を感じさせるアシュカン派のアートで、あなただけの特別な空間を演出してみてください。

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