「芸術における未来派とは?」
「未来派の絵画ってどんなのがある?」
ーといった疑問にお答えします。
20世紀初頭、ヨーロッパのアート界に、スピード、テクノロジー、そして、近代生活のエネルギーを賛美する、新たな芸術運動が誕生しました。
それは、未来派(Futurism)と呼ばれる、ダイナミズム、スピード、暴力、そして、機械の美をキーコンセプトとするムーブメントです。
本記事では、未来派の特徴や歴史的背景、代表的な芸術家と作品、そして、現代における未来派の影響について解説していきます。
artgraph.jpでは、未来派の巨匠たちの名作を、高精細ジークレープリントで忠実に再現したポスターを販売しています。お部屋に、未来派が描いたダイナミズムとスピードの世界を飾り、20世紀初頭のエネルギーを感じてみませんか?
未来派の絵画とは?
未来派には、多くの優れた芸術家たちがいますが、その中でも特に有名なのは、ジャコモ・バッラ、ジーノ・セヴェリーニです。
未来派を代表する絵画をご紹介します。
ジャコモ・バッラ: 「スピードする自動車」
出典:インターネット美術館様
ジャコモ・バッラの代表作「スピードする自動車」(または『自動車の速度』シリーズ、1912-1913年頃)は、イタリアの芸術運動「未来派(Futurism)」を代表する抽象絵画です。
この作品は、機械文明がもたらす「速度(スピード)」という目に見えない要素を、抽象的な線と形で視覚化しようと試みたものです。
具体的には、自動車の車輪の回転や空気の流れ、エンジン音など、走行によって生じるエネルギーや運動の軌跡を、渦巻き状の曲線や鋭角な直線の連続で表現しています。これにより、見る者に時間と空間を超越したダイナミズムを感じさせます。
ジャコモ・バッラ: 「街灯」
出典:インターネット美術館様
ジャコモ・バッラの「街灯」は、未来派が誕生する直前の、点描(ディヴィジョニズム)の手法を用いた重要な作品です。
夜空にそびえるアーク灯(当時最新鋭の街灯)の強烈な光を主題とし、その光がプリズムのように分解され、周囲の空気を切り裂き、浸透していく様を表現しています。
色彩を細かな筆致で分割し、光とエネルギーのダイナミズムを追求することで、自然光よりも優れているとバッラが考えた人工光の勝利を賛美しています。
ジーノ・セヴェリーニ: 「装甲列車」
ジーノ・セヴェリーニ(Gino Severini)の「装甲列車」(1915年)は、未来派(Futurism)の第二次宣言における戦争賛美の思想を強く反映した作品です。
第一次世界大戦中に制作され、未来派が理想とした機械の力とダイナミズムを、軍事的なテーマで表現しています。
キャンバス上では、列車、兵士、大砲などが幾何学的な断片として分解・再構成され、速度と破壊のエネルギーが交錯する瞬間が描かれています。この作品は、未来派の主張である「戦争は世界の唯一の衛生である」という思想を具現化したものです。
未来派とは速度と機械の美学
未来派(Futurism)は、20世紀初頭にイタリアで生まれた芸術運動です。
1909年、フィリッポ・トンマーゾ・マリネッティが「未来派宣言」を発表し、ムーブメントが始まりました。
未来派は、過去の伝統を否定し、近代テクノロジーや都市生活のダイナミズムとエネルギーを賛美しました。彼らは、スピード、機械、暴力、そして、戦争を、新しい美のキーコンセプトと捉えました。
未来派の芸術家たちは、絵画、彫刻、建築、文学、音楽、写真、映画など、様々な分野で活動しました。彼らは、それぞれのメディアを通して、スピード感とダイナミズムを表現しようとしました。
未来派の特徴としては、以下のような点が挙げられます。
未来派:スピードの表現
未来派の芸術家たちは、スピードをアートで表現することに執着を抱いていました。
彼らは、モーションブラーや多重露光などの写真技術を用いたり、オブジェクトの形を歪ませたりすることで、スピード感を表現しました。
ボッチョーニの「空間における連続性の唯一の形態」は、人体を分解し、動きのダイナミズムを表現した彫刻です。
バラの「スピードする自動車」は、スピードする自動車のダイナミズムとエネルギーを、抽象的な形と色で表現した絵画です。
未来派:機械の美学
未来派は、機械を近代生活の象徴と捉え、その美しさを賛美しました。
彼らは、自動車、飛行機、電車などの機械を、絵画や彫刻のモチーフにしました。
また、彼らは、機械の形や機能からインスピレーションを得て、新しいデザインを生み出しました。サンテリアの「ダンサー」は、機械のダイナミズムと人間の体の動きを融合させた彫刻です。
未来派:暴力と戦争
未来派は、暴力と戦争を、社会変革の原動力と捉えました。
彼らは、戦争を、古い伝統を破壊し、新しい時代を創造するための必要悪と考えました。
しかし、彼らの暴力の賛美は、ファシズムの台頭を促す一因となったという批判もあります。
セヴェリーニの「装甲列車」は、戦争のパワーとダイナミズムを表現した絵画です。
未来派とファシズムの関係
未来派は、1909年にマリネッティが「未来派宣言」を発表したことから始まりました。
この宣言は、新聞「ル・フィガロ」に掲載され、大きなセンセーションを巻き起こしました。マリネッティは、この宣言の中で、過去のアートと文化を否定し、スピード、機械、暴力を賛美しました。
未来派は、当初はイタリアのムーブメントでしたが、すぐにヨーロッパ各国に広がり、国際的なムーブメントとなりました。ロシア、イギリス、フランスなど、多くの国で、未来派の芸術家たちが活躍しました。
しかし、未来派の暴力の賛美は、ファシズムの台頭と関連付けられるようになり、第二次世界大戦後、ムーブメントは衰退していきました。
現代における未来派の影響
未来派は、20世紀美術に大きな影響を与えました。
抽象美術、ポップアート、キネティックアートなど、様々な芸術運動が、未来派のダイナミズムやスピード感からインスピレーションを受けています。
また、未来派のデザイン哲学は、自動車デザインや建築などにも影響を与えました。
未来派は、近代テクノロジーと都市生活を肯定し、未来へのビジョンをアートで表現したムーブメントです。そのダイナミズムとエネルギーは、現代においても、私たちにインスピレーションを与え続けています。
artgraph.jpで未来派の名画を
artgraph.jpでは、ボッチョーニ、バッラ、セヴェリーニなど、未来派の巨匠たちの名作を、高精細ジークレープリントで忠実に再現したポスターを販売しています。お部屋に、未来派が描いたダイナミズムとスピードの世界を飾り、20世紀美術のエネルギーを感じてみてはいかがでしょうか?


