Katsushika Hokusai(葛飾 北斎)

葛飾北斎(Katsushika Hokusai) は、江戸時代後期に活躍した、日本を代表する浮世絵師です。その70年を超える長い画業の中で、風景画、美人画、花鳥画、春画など、あらゆるジャンルを手掛け、常に斬新な視点と、卓越した技術で、人々を驚かせ続けました。代表作「富嶽三十六景」は、日本国内だけでなく、西洋の芸術家たちにも大きな影響を与え、国際的にも高く評価されています。

葛飾北斎 経歴

• 1760年、江戸の本所割下水付近(現在の東京都墨田区)に生まれる
• 幼少期より絵を描くことを好み、14歳頃から彫師のもとで木版彫刻の修行をする
• 1778年、浮世絵師・勝川春章の門に入り、役者絵などを手掛ける
• 1794年頃、勝川派を離れ、独自の画風を模索し始める
• 1800年代初頭から、読本の挿絵や、狂歌本の挿絵を数多く手掛け、人気絵師となる
• 1814年、『北斎漫画』初編を刊行。以降、1878年まで全15編が刊行される
• 1830年頃から、代表作「富嶽三十六景」の制作を開始
• 1849年4月18日、浅草聖天町にある遍照院内で死去(享年90歳)

代表作品

• 『富嶽三十六景』(Thirty-six Views of Mount Fuji) (1830-1833年頃)
• 『北斎漫画』(Hokusai Manga) (1814年-1878年)
• 『神奈川沖浪裏』(The Great Wave off Kanagawa) (富嶽三十六景の内)
• 『凱風快晴』(Fine Wind, Clear Morning) (富嶽三十六景の内)
• 『諸国瀧廻り』(A Tour of the Waterfalls in the Provinces) (1833年頃)

葛飾北斎の芸術

葛飾北斎の芸術は、その長い画業を通じて、多種多様な展開を見せました。初期には、役者絵や美人画など、当時の流行の浮世絵を手掛け、やがて、読本や狂歌本の挿絵で、その才能を広く知られるようになりました。北斎の芸術が最も円熟期を迎えるのは、60歳を過ぎてからです。代表作「富嶽三十六景」では、富士山を様々な角度、季節、天候から捉え、その雄大な姿を、斬新な構図と、大胆な色彩で描き出しました。特に、「神奈川沖浪裏」の巨大な波と、その向こうに見える富士山の対比は、見る者に強い印象を与えます。また、「北斎漫画」は、森羅万象あらゆるものを描いた絵手本であり、北斎の飽くなき好奇心と、卓越した描写力を示すものです。彼は、生涯にわたって、新しい表現を追求し続け、その情熱は、晩年まで衰えることがありませんでした。

葛飾北斎の影響と後世への評価

葛飾北斎は、その独創的な芸術によって、同時代の浮世絵師たちだけでなく、西洋の芸術家たちにも大きな影響を与えました。特に、19世紀後半にヨーロッパで起こったジャポニスムの流行において、北斎の作品は、重要な役割を果たしました。印象派のモネやドガ、ポスト印象派のゴッホらは、北斎の芸術から多くを学び、その影響は彼らの作品にも見ることができます。今日、北斎は、日本を代表する芸術家として、国際的にも高く評価されています。「葛飾北斎」「富嶽三十六景」「北斎漫画」「神奈川沖浪裏」「ジャポニスム」などのキーワードは、北斎の芸術を理解する上で重要な要素です。その作品は、世界中の美術館に収蔵され、今なお多くの人々を魅了し続けています。