フィンセント・ファン・ゴッホの代表作《夜のカフェテラス》。「このカフェは実在するの?」「今も行けるの?」と気になった方は多いはずです。結論から言うと、モデルになった建物はフランス・アルルのフォーラム広場に今も残っています。ただし、観光カフェとしての営業は近年止まっていると報じられており、状況は以前と変わりました。この記事では、舞台となった場所の「今」と、混同されがちな別作品との違い、そして本物を観る方法・自宅で楽しむ方法まで、アートの専門店の視点で整理します。

《夜のカフェテラス》のモデルになった場所はどこ?
《夜のカフェテラス》は、ゴッホが1888年に滞在していた南フランスの古都アルルで描かれました。舞台は、街の中心にあるフォーラム広場(Place du Forum)に面したカフェのテラス席です。狭い石畳の通りが奥へと伸び、ガス灯に照らされたテラスと深い青の夜空が対比される——その構図のもとになった広場の佇まいは、今も歩いて体感することができます。
ゴッホは夜のアルルの街を歩きながら、人工の灯りと星空が同居する情景に強く惹かれました。広場の奥行きや建物の配置といった街の骨格は当時から大きく変わっておらず、絵と現実を重ね合わせられる数少ない場所として知られています。
モデルのカフェは「今」どうなっている?
このカフェは1990年代初頭、絵の世界に近づけるために外壁が黄色く塗り直され、「ル・カフェ・ヴァン・ゴッホ(Le Café Van Gogh)」「ル・カフェ・ラ・ニュイ(Le Café La Nuit)」の名で観光名所として親しまれてきました。世界中からゴッホファンが訪れ、テラスで写真を撮る定番スポットでした。
【最新情報】このカフェは、運営会社の税務をめぐる問題(2012〜2014年に多額の売上を申告していなかったとされる脱税の告発)を受け、2023年7月以降は営業を停止していると報じられています。建物自体は広場に残っていますが、店舗は売却に出されたとも伝えられており、以前のように「中でコーヒーを飲む」ことは現在できない状況です(各種報道による)。アルルを訪れる際は、最新の現地情報を確認することをおすすめします。
つまり、「絵の舞台に立つ」ことはできても、「絵のカフェでお茶をする」体験は今は難しいというのが正確なところです。少し残念に感じるかもしれませんが、作品の本当の魅力は、現地の営業状況に左右されるものではありません。次の章で、本物の絵そのものに会う方法を見ていきましょう。
混同しがちな「夜のカフェ」との違い
《夜のカフェテラス》を調べると、「ゴッホのカフェは戦争で破壊された」という情報を目にすることがあります。これは別の作品との混同です。
ゴッホがアルルで暮らした「黄色い家」や、その近くにあった店内を描いた《夜のカフェ》(The Night Café/フォーラム広場のテラスとは別の作品)の建物は、第二次世界大戦中の1944年に破壊されました。一方、《夜のカフェテラス》の舞台であるフォーラム広場のカフェの建物は現存しています。「破壊されたカフェ」と「現存するカフェ」は別物、と覚えておくと混乱しません。
本物の《夜のカフェテラス》はどこで観られる?
《夜のカフェテラス》の本物は、オランダ・オッテルローのクレラー・ミュラー美術館が所蔵しています。広大なホーヘ・フェルウェ国立公園の中に建つ美術館で、世界有数のゴッホ・コレクションを落ち着いた環境で鑑賞できることで知られています。
【今だけ・日本で本物が観られます】クレラー・ミュラー美術館のコレクションが来日する巡回展「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」が開催中です。神戸(終了)・福島(終了)を巡回し、現在は最終会場の上野の森美術館(東京)で2026年8月12日まで開催されています。《夜のカフェテラス》の来日は約20年ぶり。ゴッホ作品約60点に加え、モネやルノワールら同時代の名画も並ぶ貴重な機会です。
作品《夜のカフェテラス》の見どころ
《夜のカフェテラス》は、1888年9月に描かれた油彩画です。最大の魅力は、黒をほとんど使わずに「夜」を描いたこと。ゴッホは暗さを黒で表すのではなく、青・紫・緑と、ガス灯のレモンイエローの対比で夜の空気を表現しました。これはゴッホが初めて星空を描いた作品でもあり、のちの『ローヌ川の星月夜』『星月夜』へとつながる原点です。
弟テオへの手紙でも、彼は黒を使わずに夜景を描いた喜びと、夜の方が昼より色彩が豊かに感じられるという発見を、生き生きと綴っています。手前から奥へ伸びる石畳の遠近感が、見る人をそのまま絵の中の広場へ誘い込みます。
artgraph.アートチームからのアドバイス
インテリア空間デザイン・アートディレクション《夜のカフェテラス》は黄色と青のコントラストが強いので、飾る壁は白〜オフホワイトなど無彩色だと絵の発色が最も映えます。夜にこそ本領を発揮する作品なので、間接照明やダウンライトの近くに掛けると、ガス灯の金色が灯るように見え、絵の世界がそのまま部屋に広がります。初めての一枚なら、まずはA3〜A2サイズのポスターから始めるとサイズ感を失敗しにくいです。
《夜のカフェテラス》を自宅で楽しむ
現地のカフェに入れなくても、本物が遠いオランダにあっても、あの夜の情景は自宅の壁で毎日楽しめます。artgraph.では《夜のカフェテラス》を、発色の良い高品質プリントでご用意しています。リビングのアクセントウォールにも、寝室の落ち着いた空間にもよく合う一枚です。

大きく飾るほかにも、ポストカード・スマホケース・メモなど、毎日そばに置けるアイテムでも《夜のカフェテラス》を楽しめます。
よくある質問(Q&A)
「夜のカフェテラス」のモデルになったカフェは今も営業していますか?
建物はアルルのフォーラム広場に現存していますが、観光カフェ「ル・カフェ・ヴァン・ゴッホ」としての営業は、運営会社の税務問題を受けて2023年7月以降停止していると報じられています。広場の佇まいは楽しめますが、店内での飲食は現在難しい状況です。
本物の《夜のカフェテラス》はどこで見られますか?
オランダのクレラー・ミュラー美術館が所蔵しています。2026年は来日中で、上野の森美術館の「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」で2026年8月12日まで鑑賞できます(来日は約20年ぶり)。
まとめ
《夜のカフェテラス》のモデルは、アルル・フォーラム広場に今も残る実在のカフェでした。観光カフェとしての営業は近年止まっていると報じられていますが、街の佇まいは健在で、本物の絵は2026年8月12日まで上野の森美術館で観ることができます。そして、その感動を毎日味わいたくなったら、ぜひご自宅にも一枚。アルルの星降る夜が、あなたの部屋の壁で静かに灯り続けます。
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