The Model Book of Calligraphy(書道のお手本)

『カリグラフィーの見本帳』(Mira calligraphiae monumenta)は、16世紀後半にオーストリアのウィーンで制作された装飾写本です。クロアチア生まれの書家、ゲオルク・ボッカイによる見事なカリグラフィーと、フランドル出身の画家、ヨリス・ヘフナーゲルによる緻密な挿絵が融合した、ルネサンス期における写本装飾の最高峰と言える作品です。

作品概要

• 書家：Georg Bocskay (ゲオルク・ボッカイ)
• 挿絵画家：Joris Hoefnagel (ヨリス・ヘフナーゲル)
• 制作年：1561年-1596年
• ジャンル：装飾写本、カリグラフィー
• 技法：インク、テンペラ、水彩、金銀絵具など
• 素材：羊皮紙、紙
• 所蔵：オーストリア国立図書館

作品の特徴と影響

『カリグラフィーの見本帳』は、ボッカイの卓越した書技と、ヘフナーゲルの精緻な自然描写が融合した、比類なき美しさを誇る作品です。ボッカイは、多様な書体と装飾文字を駆使し、カリグラフィーの可能性を極限まで追求しました。ヘフナーゲルは、昆虫、果物、花々などを、まるで生きているかのようなリアリティと鮮やかな色彩で描き出し、写本に華やかさと生命感を与えています。

この作品は、神聖ローマ皇帝フェルディナント1世とその孫ルドルフ2世の庇護の下で制作され、宮廷文化における芸術の重要性を示すものです。また、『カリグラフィーの見本帳』は、ルネサンス期の写本装飾の最高峰として、後世の書家や芸術家に多大な影響を与えました。

現代においても、『カリグラフィーの見本帳』は、その芸術的価値と歴史的意義から、世界中の美術愛好家や研究者によって高く評価されています。