「ゴッホとゴーギャンが住んでいた黄色い家って、いったいなんだろう？」
「どうして彼らは一緒に住んでいたんだろう？」
といった疑問にお答えします。
南仏アルルで共に暮らしたゴッホとゴーギャン。
“黄色い家”は、二人の情熱と葛藤が交錯した特別な場所でした。
本記事では、そのいきさつや家の様子を詳しく解説していきます。
ゴッホとゴーギャンの「黄色い家」とは？
「黄色い家」とは、1888年にフィンセント・ファン・ゴッホがフランス南部・アルルで借りた小さな二階建ての家のことです。
この家は、ゴッホが夢見た“芸術家の理想郷”のはじまりの場所であり、友人でありライバルでもあった画家ポール・ゴーギャンとの共同生活の舞台でもありました。
二人はここで共に制作に励み、互いの芸術観をぶつけ合いながら、絵画史に残る数々の名作を生み出します。
しかしその生活は、わずか2か月ほどで破綻を迎えます。
二人は日々制作に励み、夜通し芸術を語り合う情熱的な日々を過ごしましたが、やがて価値観の違いから衝突を重ね、ついにはゴッホの“耳を切る事件”へとつながってしまいます。
それでもこの家で過ごした時間は、ゴッホにとって生涯でもっとも創造的な時期でした。
“黄色い家”は、彼の作品の中でも特に光と希望に満ちた時代を象徴しています。
「黄色い家」はどこにあった？
黄色い家は、フランス・プロヴァンス地方の街「アルル（Arles）」のラマルティーヌ広場に建っていました。
鉄道駅からほど近く、賑やかなカフェや市場が立ち並ぶ活気ある通りの一角にあった建物です。
南仏特有の強い日差しが差し込み、壁面はまばゆいほどの黄土色に輝いていました。
黄色い家は、角地に建つ二階建ての建物で、ゴッホの手紙には「南仏の光をたっぷり浴びた、明るく開けた家」として紹介されています。
残念ながら1944年の第二次世界大戦中、連合軍の空襲により建物は全て失われてしまいました。
現在は跡地に記念碑が設けられ、周囲の街並みも当時の姿を再現するように整備されています。
訪れる人々は、ゴッホが見たであろう青空や光を感じながら、その場所に思いを馳せることができます。
「黄色い家」の当時の家賃や広さは？
ゴッホが「黄色い家」を借りたのは1888年5月頃。家賃は月額15フラン（現在の価値にしておよそ1〜2万円）ほどとされています。
それは当時としても手の届きやすい価格で、広さも決して大きくはありませんでしたが、彼にとっては理想的な創作環境でした。
建物は2階建てで、1階部分にはアトリエとキッチン、2階には寝室が2部屋ありました。
また、裏には小さな庭もあり、季節の花々やハーブが植えられていたといわれています。
彼はそこで朝食をとり、絵の具を混ぜ、夜は星空を眺めながら創作に没頭しました。
手紙の中でゴッホは弟テオにこう書いています。
「明るい黄色の壁、緑の扉、青い空。なんて生き生きとした家だろう。」
この言葉からも、彼がこの家に寄せていた希望とときめきが伝わってきます。
ゴッホとゴーギャンの家は、なぜ「黄色」なのか？
黄色はゴッホにとって、最も特別な色でした。
彼にとってそれは「太陽の光」「生命力」「希望」を象徴する色であり、精神的な救いの色でもありました。
アルルの強い日差しに照らされた外壁は、実際に黄土色を帯びて見えたといわれています。
しかし、ゴッホはその自然の色合い以上に、心の中の「幸福の象徴」として黄色を描き込みました。
彼の絵の中では、太陽も、椅子も、寝室の壁も、すべてが黄色く輝いています。
対照的に、ゴーギャンは深い赤や緑など「内面の情熱」を表す色を好んでおり、この色彩感覚の違いも二人の対立を生んだ要因の一つでした。
それでも「黄色い家」は、ゴッホが心の奥底で夢見た“幸福の象徴”として今も語り継がれています。
ゴッホとゴーギャンの“黄色い家”の間取りを紹介
黄色い家の内部構造は、のちに研究者たちがゴッホの手紙や絵画から再現しています。
1階にはアトリエとキッチンがあり、2階には2つの寝室。
小さな玄関ホールと階段を挟み、左右に部屋が並んでいました。
二人は共同生活の中で、互いの部屋を尊重しながらも、日々制作について熱く議論を交わしていました。
その空間には、創作のエネルギーと人間らしい葛藤が満ちていたのです。
1階はキッチンとアトリエ
1階は生活と創作が交錯する場所でした。
小さなキッチンでは、質素ながらも温かい食事を共にし、夜になるとランプの光の下でキャンバスを広げていました。
昼間は南仏の光が差し込み、壁も床も柔らかく黄色く照らされていたといいます。
ここで制作された作品の中には、《夜のカフェテラス》《ゴーギャンの椅子》《ひまわり》など、彼の代表作が多く含まれています。
ゴッホにとってこのアトリエは、まさに“光の実験室”でした。
1階には『ゴッホの椅子』があった
1階の一角には、彼の有名な《ゴッホの椅子》が置かれていました。
シンプルな木の椅子にパイプとタバコ箱を置いたこの作品は、彼自身の内面を象徴しています。
対照的に、同時期に描かれた《ゴーギャンの椅子》は暗いトーンの中にロウソクが灯り、二人の性格と精神の対比が際立っています。
この二つの椅子の絵は、まさに黄色い家での生活を象徴する“心の肖像画”といえるでしょう。2階は『アルルの寝室』
2階には、ゴッホが最も愛した空間《アルルの寝室》がありました。
壁も床も、ベッドも黄色と青で彩られたこの作品は、彼が「静けさ」「安心」「家庭のぬくもり」を求めて描いた一枚です。フィンセント・ファン・ゴッホ『アルルの寝室』 ゴッホは弟テオにこう書き送っています。
「ここで休むと、心が穏やかになるような気がする」
しかし現実には、ゴーギャンとの対立や精神的な不調により、その安らぎは長く続きませんでした。
それでもこの寝室の絵は、彼の心が一瞬でも平和であったことを伝えてくれます。ゴッホが“黄色い家”を借りた理由
ゴッホはアルルを「南の芸術家の都」にする夢を抱いていました。
パリでの都会的な生活に疲れ、自然と光に満ちた環境で“芸術家の村”を作ろうと考えたのです。
彼が黄色い家を借りたのも、そこをその夢の拠点にするためでした。
弟テオに宛てた手紙には、
「この家には、何人もの芸術家が集まり、互いの作品を高め合う未来が見える」
と書かれています。
実際にゴーギャンを招いたのは、その第一歩でした。
しかし現実は理想どおりにはいかず、わずか二か月で共同生活は終わりを迎えます。
それでも彼の夢のかけらは多くが名作として、現在まで残り続けております。ゴッホとゴーギャンの「黄色い家」の現在の様子
現在、黄色い家は現存していません。
1944年の空襲で跡形もなく消えてしまいましたが、その場所には記念碑が設けられ、世界中のファンが訪れる聖地となっています。
アルルの街には、ゴッホが描いた風景が今も数多く残されており、観光ルートとして整備された「ゴッホ・ウォーキングルート」を歩けば、彼の絵の世界を体感できます。
また、近くには彼が入院した「サン＝レミの療養院」も保存されており、当時の空気を感じられるスポットとして人気です。場所・アクセス・保存状況
場所：Place Lamartine, Arles（フランス・アルル）
アクセス：アルル駅から徒歩約10分。マルセイユやアヴィニョンから鉄道で約1時間ほどで行けます。
跡地には、当時の位置関係を示す案内板や再現イラストが設置されており、建物の外観をイメージしながら訪れることができます。
春から夏にかけては、プロヴァンスの花々が咲き誇り、まるで絵画の中を歩いているような体験ができます。間取りの展示・再現のポイント
アルルの「ゴッホ財団」や「ランギャ・ド・ゴッホ館」では、黄色い家の再現展示や模型が見られます。
また、オランダの「ゴッホ美術館」では、彼の手紙やスケッチをもとにした詳細な模型が展示され、部屋の配置や家具の位置、光の入り方まで忠実に再現されています。
訪れる人々は、まるで時間を遡るように、ゴッホの創作空間を体感することができるでしょう。ゴッホとゴーギャンの「黄色い家」をアートパネルで飾ろう！
ゴッホが描いた《黄色い家》《アルルの寝室》《ゴッホの椅子》は、どれも温かさと人間味にあふれた作品です。
その柔らかな黄色や青の色調は、インテリアとしても非常に人気があり、空間を明るく優しい印象に変えてくれます。
リビングや寝室に飾れば、南仏の光を感じるような穏やかな雰囲気に。
また、オフィスやカフェなどに取り入れると、芸術性と温もりを両立した上品な空間を演出できます。
アートパネルなら、額装よりも軽く、手軽に壁を彩れるのも魅力。
ゴッホの夢見た光あふれる家を、あなたの部屋にも取り入れてみてはいかがでしょうか。まとめ｜ゴッホとゴーギャンの「黄色い家」
今回は、ゴッホとゴーギャンの「黄色い家」について、借りた背景や現在の様子までをご紹介いたしました。
ゴッホとゴーギャンの「黄色い家」は、芸術史における象徴的な瞬間を刻んだ場所です。
理想と現実、友情と対立、そして光と影——あらゆる感情がこの小さな家に詰まっていました。
黄色は希望の色、そして再生の色。
ゴッホがこの家で描いた作品たちは、彼が見た世界の美しさを今も私たちに伝えてくれています。
ぜひアートパネルを通して、その温もりと情熱を、日常の空間にそっと取り入れてみてください。
